JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS14] 地殻変動

コンビーナ:落 唯史(国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター 活断層・火山研究部門)、加納 将行(東北大学理学研究科)

[SSS14-P09] 潮位データに対する季節調整の適用 (3)

*落 唯史1 (1.国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター 活断層・火山研究部門)

キーワード:潮位記録、長期的な地殻変動

ここでは数ヶ月スケール以上の長期的な潮位変動を考える.潮位変動には海洋変動と地殻変動が含まれるが,これらを分離することができれば長期的な地殻変動のデータとして利用できる.津村(1963)や加藤・津村(1979)はこの課題に対する手法として有名である.この手法は地殻変動が広域的には直線トレンドで表せるという前提に基づいて組み立てられている.一方,近年の研究によればプレート間固着は時間変化すること(スロースリップも含む)がわかっているから,もう少し柔軟なトレンドを許したモデルを考えたい.そこで落(2018, 2019測地学会)では季節調整のモデルを使用してこれらの分離を試み,西南日本の地殻変動の傾向を示した.使用したモデルは「トレンド(直線とは仮定しない)+季節変動+残差」である.このうち季節変動は海洋変動起源であるとして無視し,残りのトレンド+残差が鉛直地殻変動を表しているかどうか検証した.本来の目的は一箇所の検潮記録から上下変動を得ることであるが,ここでは検証のため,近隣の二地点におけるトレンド成分の差と近隣のGEONET上下成分との差を比較した.その結果、東海から四国地方の太平洋沿岸では両者の結果がよく一致していることがわかった.講演ではまずこの検証をすすめ,沈み込みを反映した場所以外でも同様の結果が得られるのかどうか議論する.続けて残差成分の解釈や季節調整以外の手法の検討を進める.