JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS14] 地殻変動

コンビーナ:落 唯史(国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター 活断層・火山研究部門)、加納 将行(東北大学理学研究科)

[SSS14-P12] GEONET第5世代解析の開発

*撹上 泰亮1村松 弘規1大橋 和幸1阿部 聡1古屋 智秋1畑中 雄樹1 (1.国土交通省国土地理院)

キーワード:GNSS連続観測システム

国土地理院では日本列島の地殻変動監視等を目的として、GEONET(GNSS連続観測システム)を用いた電子基準点の日々の座標値を算出している。GEONETは1996年の運用を開始して以来、4度のシステム改良を経て、2020年から第5世代解析ストラテジによる座標値(日々の座標値(F5))を試算している。2009年から運用されている第4世代解析ストラテジと平行して座標値(日々の座標値(F3))の算出を行っており、前回からの主な改良事項として、①基準座標系の更新、②GLONASSを含めた解析の試行、③対流圏遅延モデルの更新、④解析固定点算出手法の安定化の4つを実施している。

第5世代解析ストラテジは、世界中のIGS (International GNSS Service:国際GNSS事業)観測点から電子基準点「つくば1」の座標値を算出する部分(以下、「固定点解析」という)と、つくば1の座標を固定してGEONET各観測点の座標値を算出する部分(以下、「全点解析」という)に分けられる。

固定点解析では、初期座標値としてITRF2014モデルの値を与え、拘束条件にNo-Net-Translationを用いることでITRF2014座標系に準拠させた座標値を算出している。この仕様で1996年以降のデータの解析を実施したところ、過去に遡るほど座標値の安定性が低下した。このため過去のデータの解析には、IGSがITRF2008の仕様で1994年から2015年まで解析した二回目の再解析キャンペーンの結果であるIGS repro2の座標値を初期値として拘束し、固定点の座標を解くことにした。

上記の改良を施し、解析結果の跳びを抑えると同時に、新しい座標系と整合する座標を算出することができ、より安定的な地殻変動監視への活用が期待される。

本講演では、第5世代解析ストラテジの概要及び算出している座標値の精度検証結果について報告する。