[SSS15-13] 回転剪断摩擦実験による模擬断層ガウジの機械的非晶質化
キーワード:機械的非晶質化、摩擦実験、断層ガウジ
断層岩の機械的非晶質化およびその摩擦特性への影響は様々な断層で広く確認されいるが、滑り過程と鉱物の機械的な非晶質化量との関係は明らかになっていない。本研究では、摩擦滑りを再現した回転剪断摩擦実験および実験前後試料中の非晶質量の定量解析を行い、模擬断層ガウジ中の機械的な非晶質量が摩擦滑りによってどのように変化するかを調べた。模擬断層ガウジの摩擦実験には、山口大学に設置の回転剪断型摩擦試験機を用いた。模擬断層ガウジとして、完全に結晶質な石英およびカオリナイト粉末を用いて、垂直応力1もしくは3 MPa、等価滑り速度0.001もしくは1 m s–1、等価滑り距離1–100 m、室温・大気乾燥条件下で回転剪断摩擦実験を行った。XRD分析から、いくつかの実験後試料では実験前と比較して試料中の非晶質割合が増加しており、その増加量は鉱物種および摩擦仕事量に依存する一方、滑り速度によらないことがわかった。したがって、機械的非晶質化は、地震性滑りのみならず、非地震性滑りによっても引き起こされると考えられる。機械的非晶質化で消費されたエネルギーは摩擦仕事量の1%以下と推定されたことから、エナジェティクスに及ぼす影響は小さい。一方、本研究で推定されたような高い非晶質量は、thermo-chemical pressurizationや非晶質シリカによる断層潤滑のような動的弱化過程を考える上で重要な機構かもしれない。