JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS15] 地震発生の物理・断層のレオロジー

コンビーナ:吉田 圭佑(東北大学理学研究科附属地震噴火予知研究観測センター)、岡崎 啓史(海洋研究開発機構)、金木 俊也(京都大学防災研究所)、野田 博之(京都大学防災研究所)

[SSS15-P33] 2011年東北地方太平洋沖地震による繰り返し地震の震源パラメータ変化

*立岩 和也1岡田 知己1内田 直希1河野 俊夫1 (1.東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センター )

キーワード:繰り返し地震、応力降下量

東日本太平洋プレート境界では多数の繰り返し地震が発生している.2011年東北地方太平洋沖地震(東北沖地震)の余効すべりによりこれら繰り返し地震のふるまいが変化したことが報告されている.載荷速度増加によって繰り返し地震の繰り返し間隔や地震モーメント,応力状態が変化することが数値シミュレーションにより示されている(Chen et al., 2010).本研究では東北沖地震発生前後に太平洋プレート境界で発生した繰り返し地震の震源パラメータ変化を系統的に調べた.まず,応力降下量をスペクトル比法により推定し,その時空間分布の特徴を調べた.また,繰り返し地震パッチ周辺での非地震性すべり速度を推定し,観測による結果がChen et al. (2010) の数値シミュレーションの結果と整合するのか検証・確認しプレート境界の摩擦特性について議論を行った. 
 日高沖や岩手県沖で応力降下量が小さくなることが,福島県沖で応力降下量が大きくなることがそれぞれ確認された.これらの特徴的な領域はいくつかの先行研究でも特徴的な応力降下量となることが示されており,これらの先行研究と整合的な部分が多い.また,本研究で応力降下量が高いと推定された地震の多くは大地震アスペリティの中あるいはその周辺に分布しており,大地震の固着域と高応力降下量領域の関連が示唆される.
 非地震性すべり速度―応力降下量の関係と繰り返し間隔―地震モーメントの関係を調べたところ,非地震性すべり速度が大きくなると応力降下量も大きくなるような繰り返し地震系列では,繰り返し間隔が短くなると地震モーメントは大きくなるという傾向が見られた.一方,非地震性すべり速度が大きくなると応力降下量は小さくなるような繰り返し地震系列では,繰り返し間隔が短くなると地震モーメントは小さくなるという傾向が見られた.これらの傾向はChen et al. (2010) の数値シミュレーションの結果と整合的であり,観測によって彼女らの結果を確かめることができたといえる.
 さらに,繰り返し間隔―地震モーメントのlog-logプロットにおける回帰直線の傾き(q-value)は,岩手県沖で負となり,日高沖と関東地方で正となる傾向にあることが確認された.この傾向が見える理由として,岩手県沖では摩擦パラメータ a-b の絶対値が小さいこと,日高沖では剛性率が小さいことや法線応力が大きいこと,関東地方では法線応力が大きいことが考えられる.
 以上のように,繰り返し地震の震源パラメータ変化やq-valueはプレート境界における摩擦特性と密接な関わりがあることが示唆される.