JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS15] 地震発生の物理・断層のレオロジー

コンビーナ:吉田 圭佑(東北大学理学研究科附属地震噴火予知研究観測センター)、岡崎 啓史(海洋研究開発機構)、金木 俊也(京都大学防災研究所)、野田 博之(京都大学防災研究所)

[SSS15-P39] 10kHzサンプリングによるP波初動波形の相似性を用いたP波到達時刻の差の推定

*野田 雄貴1飯尾 能久2 (1.京都大学大学院理学研究科、2.京都大学防災研究所)

キーワード:10kHz波形、相互相関、相対震源決定、前震

長野県西部地域では1995年6月から10kHzサンプリングによる地震観測が行われている。観測点は1984年長野県西部地震の余震域の東部を中心に設置されており、この地域では1976年8月以来地震活動が活発である。またこの地域では、震源が浅く信号が大きい地震が多い、岩盤が均質で固く非弾性減衰が小さい、観測点の周囲が静かでノイズレベルが小さいといった特徴があり、非常に地震観測に適した環境が整っている。そのため多数の微小地震データが得られ、シンプルな波形が観測できる。また、2008年8月からは満点システムによる250Hzサンプリングの観測も行われている。
この研究では本震およびその前震をマグニチュード、発震時の前後関係、震央距離および鉛直距離から時空間的に定義し、それらのP波初動波形の相互相関からそれぞれのP波到達時刻の差を推定した。
この研究で用いる波形データは速度波形の鉛直成分である。時空間的に定義した前震活動の中には、同じ観測点の波形において、波形全体では似ていないがP波初動波形は似ている地震が多く含まれていた。そこで、一連の前震活動に含まれる地震のペアについて、ある観測点におけるP波初動付近の0.01秒間という短いウインドウを用いて相互相関係数が最大になる時間差を求め、それをある観測点における2つの地震のP波到達時刻の差として扱った。このような値を用いて数メートルの精度で相対震源決定をし、preslipモデルやcascadeモデルで説明されるような一連の前震活動の発生過程を解明していきたい。