JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS16] 活断層と古地震

コンビーナ:小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、近藤 久雄(産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)、大上 隆史(産業技術総合研究所 地質調査総合センター)、佐藤 善輝(産業技術総合研究所 地質情報研究部門 平野地質研究グループ)

[SSS16-02] 素性がわかっている歴史津波の堆積物を用いた津波堆積物の認定条件の検証(1)三沢海岸の防風林/7年経過

*西村 裕一1篠崎 鉄哉2千葉 崇3Purna Putra4 (1.北海道大学大学院理学研究院、2.筑波大学アイソトープ環境動態研究センター 、3.秋田県立大学生物資源科学部生物環境科学科、4.Research Center for Geotechnology, Indonesian Institute of Sciences (LIPI))

キーワード:津波堆積物、認定条件、風化、三沢海岸、2011年東北津波

古津波堆積物を利活用するためには,まず津波堆積物の認定手順を確立させる必要がある(後藤ほか,2017),津波堆積物の認定条件は,その多くが新しい津波堆積物の調査結果に基づき,モダンアナログの視座で提唱されている.一方,津波堆積物は堆積後に様々な風化の影響を受け,年月を経て特徴が変化したり見えなくなったりすることも知られている.こうした風化は,堆積後の経過年数だけでなく,堆積物の特徴や堆積した環境にも依存する.本研究は,素性がわかっている歴史津波の堆積物を用いて津波堆積物の認定条件を検証し,またその適用限界を知ることを目的としている.手順としては,対象とする津波堆積物に対して,分布や堆積構造,化学痕跡,生物痕跡を一般的な古津波の堆積物調査の手法で調べる.さらに,土壌特性や地形,植生に見られる特徴も確認する.様々な環境,年代の歴史イベントで検証する必要があるため,場所(環境)と経過年数が異なる多様な事例についてシリーズ化することを考えている.今回の発表では,最初の事例として,青森県の三沢海岸に形成され7年経過した2011年津波堆積物を対象とした.この津波堆積物については,内陸薄層化,内陸細粒化といった分布特性,上方細粒化,侵食痕やRiu-up clastsが認められるなどといった堆積構造の特徴も明瞭に認められた.また微化石からも,海起源の堆積物であることが十分に示せることが確認できた.一方,津波堆積物の上位の土壌中に砂粒子が拡散していることがわかった.