JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS17] 地震全般

コンビーナ:大林 政行(独立行政法人海洋研究開発機構 火山・地球内部研究センター)、中東 和夫(東京海洋大学)、落 唯史(国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター 活断層・火山研究部門)

[SSS17-01] 変位拡大システムの開発と適用例-小型歪地震計の製作-

*石井 紘1浅井 康広1笠原 稔1 (1.公益財団法人 地震予知総合研究振興会 東濃地震科学研究所)

キーワード:変位拡大システムの開発 、システムの適用例、小型歪地震計、伸縮計

著者はボアホール応力計・歪計を開発して(Ishii and Asai;2015)多くのボアホール観測点に設置し、応力地震動や歪地震動も良好に記録している(石井・浅井;2017)。ダイナミックレンジも広く、今後発生するすべての大きな地震動もスケールアウトすることなく記録できることが明らかになっている(石井ほか;2019)。ボアホール計器の場合、設置にはボアホールの掘削や円筒容器をもとにした計器の製作が必要で経費が高額になる。地上ではボアホール用の拡大機構におけるような寸法の制限がないので、変動の拡大は容易と考えられる。そこで変位拡大システムの開発を行い地上で安価に歪地震動の記録が可能な小型歪計の開発を試みた。拡大システムは10cm程度のアームとし、テコの原理を適用した2段拡大にした。アームの支持と接続は恒弾性材質のハイテリンバーを採用した。製作した拡大システムを検定装置を用いて検定した結果、加えられた変位が約60倍拡大することがわかった。これを実際の観測に適用することを試みた。
  当研究所では横坑の観測点を所有しており長さ30mの伸縮計でデータを得ている。この伸縮計の固定端と最初の石英ガラスの釣支え台(距離1.1m)の歪を観測するために地上拡大装置(倍率約60倍)を取り付けて変動を記録した。その結果、拡大システムによる記録は30m長の伸縮計とほとんど同一の記録が得られた。実際にはより短い間隔の変動でも30m伸縮計と同様の結果が得られると推定される。詳細を報告する。

Ishii, H. and Y. Asai , 2015, Development of a borehole stress meter for studying earthquake predictions and rock mechanics, and stress seismograms of the 2011 Tohoku earthquake (M9.0), Earth, Planets and Space 67:26. doi:10.1186/s40623-015-0197-z.

石井 紘・浅井康広, 2017,ボアホール歪・応力観測機器により観測された弾性体力学の不変量と計器の信頼性,
地震2, 69.49-58.doi:10.4294/zisin.69.49.

石井 紘・浅井康広・古本宗充, 2019, 連続観測用ボアホール応力計で観測される応力・歪の観測レンジは如何に広いか? ―長周期地震計の波形およびGNSSデータとの比較から得られた観測データの特徴,
地震2, 71.139-149.doi:10.4294/zisin.2018-3.