JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS17] 地震全般

コンビーナ:大林 政行(独立行政法人海洋研究開発機構 火山・地球内部研究センター)、中東 和夫(東京海洋大学)、落 唯史(国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター 活断層・火山研究部門)

[SSS17-P04] 通常の地震に対するスロー津波地震の応力降下量比の解析

*西宮 隆仁1勝間田 明男1 (1.気象庁気象研究所)

キーワード:津波地震、震源スペクトル、応力降下量

スロー津波地震の特徴として、通常の地震に比べて高周波の地震波放射エネルギー放出が小さい割に破壊継続時間が長いことがある。このことは、震源スペクトル解析において、ω2モデルを適用した場合のコーナー周波数がより小さく、また、平均的な応力降下量もより小さいことからも示される(Polet and Kanamori, 2000)。

一方、強震動解析に用いられる経験的グリーン関数法(EGFM)は主に本震と余震の震源スペクトル比(あるいは同一観測点における地震波スペクトル比)を用いた解析手法で余震による地震波をグリーン関数的に扱うリファレンスとしており、解析の過程で平均的な応力降下量の比を見積もることも可能となっている(Irikura, 1986、三宅 他, 1999)。具体的にはスケールパラメータN(スケーリング則に基づく断層スケール比)を用いて震源スペクトル比は、長周期側でCN3、短周期側でCNに漸近し、Cが応力降下量比となる。

そこで、1992年ニカラグア沖津波地震(Mw7.6)、1994年ジャワ島沖津波地震(Mw7.8)について、観測点ごとに遠地地震波形のP相、S相それぞれから震源スペクトルを求めた。また、近隣で発生したプレート境界型(低角逆断層)の2004/10/09ニカラグア沖(Mw6.9)、2003/11/20ジャワ島沖(Mw5.9)の地震をリファレンスとして同様に解析した。いずれもスペクトルはω2モデルから大きな逸脱はなく、そこでEGFMの手法を適用してみた。具体的には、同一観測点ごとに津波地震とリファレンス地震とで比を求め、P相S相それぞれ平均値をとったものについて、長周期側をGlobalCMTによる地震モーメント量の比で固定した上でコーナー周波数(または周期)とNを未知数としてグリッドサーチで最適解を探索した。
その結果、ニカラグア沖津波地震については、コーナー周期84秒、リファレンス地震に対する応力降下量は2.6分の1、ジャワ島沖津波地震については、コーナー周期84秒、リファレンス地震に対する応力降下量は5.0分の1であった。