JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS17] 地震全般

コンビーナ:大林 政行(独立行政法人海洋研究開発機構 火山・地球内部研究センター)、中東 和夫(東京海洋大学)、落 唯史(国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター 活断層・火山研究部門)

[SSS17-P06] バックプロジェクション法による2016年4月14日の地震(M6.5)の断層破壊過程の推定

*大島 光貴1竹中 博士2松原 誠3 (1.清水建設株式会社、2.岡山大学、3.防災科学技術研究所)

キーワード:熊本地震、4月14日の地震、バックプロジェクション法

2016年熊本地震の一連の地震活動は、4月14日のM6.5の地震から始まった。4月16日にはM7.3の地震が発生し、その後も4月16日だけでもM6弱の地震が3回も発生するなど、多くの地震が発生した。本研究では、4月14日のM6.5の地震の断層破壊過程を、近地強震観測記録を用いたバックプロジェクション法により推定した。バックプロジェクション法では、地震波の放射強度の時空間分布が得られるため、これにより断層破壊の時空間進展を調べることができる。バックプロジェクション法により、通常行われる波形インバージョン(周波数0.1~1Hz程度)よりも高い周波数帯域での断層破壊過程を捉えることができる。バックプロジェクション法による断層破壊過程の推定事例を蓄積し、広帯域の地震動予測用断層モデルの構築に資する。

解析には、熊本周辺のKiK-net地中観測点の強震波形記録を用いた。地震波形は、地震計の設置方位の補正を行い、オフセットを取り除き、1回積分して速度波形とした。バックプロジェクション法では、事前に断層面を設定しておく必要はないが、計算の効率性の観点から、本研究では事前に断層面を設定した。この地震については、すでに地震波形インバージョンが行われており、波形インバージョンに用いられた断層面をバックプロジェクション法で用いた。バックプロジェクション法に用いる走時は、Matsubara et al. (2018)による、Double-Difference法を用いた震源再決定により得られた観測走時を用いた。断層面付近で発生した地震の間の地震波の走時を空間補間することにより、設定した断層面上のグリッドと強震観測点の間の地震波の走時を得て、これを用いてバックプロジェクション法を実施した。走時データの空間補間に当たっては、補間誤差が最小となるように、補間式の自由パラメータの値を統計的な検討を行って設定した。さらに、竹中・山本(2004)と同様の走時データ処理を行うことにより、地震波放射強度の震源位置に対する相対位置の精度を向上させた。観測点は、断層面との位置関係によって複数のグループに分割し、グループごとにバックプロジェクションを行い、それぞれのグループについて得られた破壊イメージを統合し、最終的な破壊イメージを得た。複数のバックプロジェクションイメージの統合は、地震波の到来方向を考慮して行った。

発表では、用いたデータ、手法、及びバックプロジェクション法により推定された2016年4月14日の地震(M6.5)の断層破壊過程を示す。


謝辞:防災科学技術研究所のKiK-netの強震波形記録を使用させて頂きました。ここに記して御礼を申し上げます。