JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC44] 火山の熱水系

コンビーナ:藤光 康宏(九州大学大学院工学研究院地球資源システム工学部門)、神田 径(東京工業大学理学院火山流体研究センター)、大場 武(東海大学理学部化学科)

[SVC44-P03] 広帯域MT観測により推定された草津白根火山の広域比抵抗構造(序報)

*松永 康生1神田 径2高倉 伸一3小山 崇夫4西澤 達治2 (1.東京工業大学理学院地球惑星科学系地球惑星科学コース、2.東京工業大学理学院火山流体研究センター、3.国立研究開発法人産業技術総合研究所地質調査総合センター、4.東京大学地震研究所)

キーワード:草津白根山、MT法、比抵抗構造

草津白根火山は、山頂火砕丘の1つである本白根山で2018年に水蒸気爆発が発生するなど、活発な火山活動で知られている。近年の活動中心である湯釜が位置する北部の白根山では、重点的な火山活動の監視とともに、周辺の温泉・噴気を対象とした数多くの地球化学的研究が行われ、主に活動火口周辺の熱水系が明らかにされてきた(Ohba et al., 2000; Ohba et al., 2008, など)。その一方で、草津白根火山全体の熱水系の広がりや、その駆動源となるマグマ溜まりの位置については未だによくわかっていない。記録の残る最近200年間に発生した噴火はすべて水蒸気爆発であるものの、最近の地質学的な研究によると、南部の本白根山では1500年前までマグマ噴火を繰り返していたことが明らかになった(亀谷ほか, 2015)。したがって、当時の噴火を引き起こしたマグマは現在でも冷え固まることなく地下に存在しているものと予想される。

2015年、2016年に本白根山を中心とした計23点で行われた広帯域MT観測の結果、白根山から本白根山にかけての地下1−3 kmに南北に広がる顕著な低比抵抗領域が推定され、山頂部や山麓の温泉に熱水を供給している火山性流体が豊富に存在する貯留槽であると解釈された(Matsunaga et al., 2020)。しかしながら、調査領域が草津白根火山全体で展開されていなかったこともあり、5km以深の詳しい構造は明らかになっておらず、マグマ溜まりの位置も制約することができなかった。

そこで、2019年には草津白根火山周辺に観測領域を広げ、合計36観測点で広帯域MT観測を行った。本発表では、2015―2016年と2019年の観測データを合わせて3次元インバージョンを行い、草津白根火山の深部比抵抗構造と予想されるマグマ熱水系について議論する。