[SVC44-P09] 大分県九重火山1995年噴火前後の数値シミュレーションから推定される重力変化
キーワード:熱水系モデリング、重力、放熱量、九重火山
大分県九重火山では1995年10月と12月に水蒸気爆発が生じた。当研究では大分県九重火山の水蒸気爆発前後の熱水系の変化を理解するため熱水系数値モデルの構築を行ってきた。マッチングパラメータとしては、火口や噴気地域の噴気温度及び噴気放熱量を使用し、これらの時間変化を説明する数値モデルを構築した。この結果、噴火によって大気に大量に放出された地下の熱水を補うために周辺から大量の地下水が流入し、火道周辺の火山熱貯留層を急激に冷却していることが明らかになった(藤光ほか, 2018)。また、1995年噴火前後では重力変動観測も行われており、噴火直後に最大約100 µgalの重力の急激な減少やその後の緩やかな重力増加(最大約110 µgal)などが検出された。これらの変化は水蒸気爆発に伴って失われた質量(熱水)が、周囲から地下水が補われることによって質量が回復する質量収支モデルで解釈された(西島ほか, 2002)。
本研究では、噴気温度や放熱量といった熱的変化と重力変動観測から得られる質量変化を同時に説明できる熱水系数値モデルをHydrotherm ver.3.2(Kipp Jr. et al., 2008)を用いて構築することを試みた。モデルの領域は東西5.1 km、南北5.1 km、標高-500〜1800 mの範囲で、1辺100 mのブロックで分割した。本モデルの境界条件は、底面は不透水とし、それ以外の面は透水境界とした。また、地表面温度は15 ℃(年平均気温)で固定し、熱の出入りはあるものとした。モデル底面は200 mW/m2の地殻熱流量を与え、側面は静水圧を与えて固定した。
水蒸気爆発前の定常状態は、火山熱貯留層の浸透率と火道直下の地熱流体の供給量を試行錯誤的に変化させて、放熱量の観測値(100 MW)を再現できるモデルとした。噴火後の非定常モデルについては、火道及び火山熱貯留層の浸透率と火道直下の地熱流体の供給量を実測の噴気放熱量の経時変化に合うように変化させた。得られたシミュレーション結果より各ブロックの密度変化を取り出し、Okabe(1979)の式で各ブロックの密度変化が地表観測点に与える重力を計算し、それらの総和を各観測点での重力計算値とした。この重力計算値の経時変化と実測の重力経時変化を比較し、できるだけ重力実測値に合うように再度シミュレーションのパラメーターを調整した。この結果、放熱量変化と重力の大局的な変化を説明できる熱水系数値モデルが得られた。
本研究では、噴気温度や放熱量といった熱的変化と重力変動観測から得られる質量変化を同時に説明できる熱水系数値モデルをHydrotherm ver.3.2(Kipp Jr. et al., 2008)を用いて構築することを試みた。モデルの領域は東西5.1 km、南北5.1 km、標高-500〜1800 mの範囲で、1辺100 mのブロックで分割した。本モデルの境界条件は、底面は不透水とし、それ以外の面は透水境界とした。また、地表面温度は15 ℃(年平均気温)で固定し、熱の出入りはあるものとした。モデル底面は200 mW/m2の地殻熱流量を与え、側面は静水圧を与えて固定した。
水蒸気爆発前の定常状態は、火山熱貯留層の浸透率と火道直下の地熱流体の供給量を試行錯誤的に変化させて、放熱量の観測値(100 MW)を再現できるモデルとした。噴火後の非定常モデルについては、火道及び火山熱貯留層の浸透率と火道直下の地熱流体の供給量を実測の噴気放熱量の経時変化に合うように変化させた。得られたシミュレーション結果より各ブロックの密度変化を取り出し、Okabe(1979)の式で各ブロックの密度変化が地表観測点に与える重力を計算し、それらの総和を各観測点での重力計算値とした。この重力計算値の経時変化と実測の重力経時変化を比較し、できるだけ重力実測値に合うように再度シミュレーションのパラメーターを調整した。この結果、放熱量変化と重力の大局的な変化を説明できる熱水系数値モデルが得られた。