[SVC45-25] 3次元比抵抗構造から推定される九重火山群への火山性流体供給路
2014年9月~10月および2019年3月~6月など、これまで九重火山群周辺で実施してきた広帯域MT観測、電位差観測によって得られたデータを解析し、3次元比抵抗構造を推定した。使用した観測点は広帯域MT観測点が152点、電位差観測点が40点の合計192点である。得られた電場―磁場の時系列データから、周期0.005~3000秒の周波数応答関数を計算し、比抵抗構造推定に用いた。電位差観測点においては周辺の磁場観測点のデータを周波数応答関数の推定に用いた。
比抵抗構造の特徴
インバージョンの細かい設定によらず現れる比抵抗構造の特徴を以下に記す。
(1)大岳-八丁原地熱発電所の西北の深さ1~2 kmより深部に水平方向に3 km ほどの広がりをもつ高比抵抗体(100 Ωm以上)が存在する。地熱開発のための深部掘削(川村, 1988; 馬場他, 1991)により得られた試料のK-Ar年代測定によると、九重火山の基盤は白亜紀の花崗岩と推定されている(笹田, 1987)。しかしながら、このローカルな高比抵抗体まで掘削は到達していないため地質構造との対応は現時点では不明である。
(2)(1)の高比抵抗体に対して、その東西の深さ3 kmより深部において2つの低比抵抗領域が存在する。その1つ(C1と呼ぶ)は大岳-八丁原の東部に位置しており、その深部延長は北側の猪牟田カルデラ方向に、浅部延長は九重硫黄山方向に伸びている。もう1つの低比抵抗体(C2と呼ぶ)は大岳-八丁原地熱発電の西に位置し、その周辺では最新活動が40万年前(鎌田, 1985)と推定されている涌蓋火山が存在し、また黒川温泉、岳湯など活発な地熱活動が見られる。C2の深部延長もC1と同様に北側の猪牟田カルデラ方向に伸びるている。C1およびC2はその存在する場所、およびその内部で地震が発生していないことから高温のマグマ性流体の通路と考えられ、その深部ソースは九重火山群に対して北側の猪牟田カルデラ方向である。本発表では九重火山群の活動とC1とC2の関連、また近傍の阿蘇火山との比較などについて議論する。
謝辞
MT応答関数推定には気象庁柿岡地磁気観測所の磁場データを参照点として使用しました。広帯域MT観測装置の使用は東京大学地震研究所共同利用の助成を受けました。本研究は文部科学省「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」、経済産業省「超臨界地熱発電技術研究開発」の資金等の提供を受けたものです。
比抵抗構造の特徴
インバージョンの細かい設定によらず現れる比抵抗構造の特徴を以下に記す。
(1)大岳-八丁原地熱発電所の西北の深さ1~2 kmより深部に水平方向に3 km ほどの広がりをもつ高比抵抗体(100 Ωm以上)が存在する。地熱開発のための深部掘削(川村, 1988; 馬場他, 1991)により得られた試料のK-Ar年代測定によると、九重火山の基盤は白亜紀の花崗岩と推定されている(笹田, 1987)。しかしながら、このローカルな高比抵抗体まで掘削は到達していないため地質構造との対応は現時点では不明である。
(2)(1)の高比抵抗体に対して、その東西の深さ3 kmより深部において2つの低比抵抗領域が存在する。その1つ(C1と呼ぶ)は大岳-八丁原の東部に位置しており、その深部延長は北側の猪牟田カルデラ方向に、浅部延長は九重硫黄山方向に伸びている。もう1つの低比抵抗体(C2と呼ぶ)は大岳-八丁原地熱発電の西に位置し、その周辺では最新活動が40万年前(鎌田, 1985)と推定されている涌蓋火山が存在し、また黒川温泉、岳湯など活発な地熱活動が見られる。C2の深部延長もC1と同様に北側の猪牟田カルデラ方向に伸びるている。C1およびC2はその存在する場所、およびその内部で地震が発生していないことから高温のマグマ性流体の通路と考えられ、その深部ソースは九重火山群に対して北側の猪牟田カルデラ方向である。本発表では九重火山群の活動とC1とC2の関連、また近傍の阿蘇火山との比較などについて議論する。
謝辞
MT応答関数推定には気象庁柿岡地磁気観測所の磁場データを参照点として使用しました。広帯域MT観測装置の使用は東京大学地震研究所共同利用の助成を受けました。本研究は文部科学省「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」、経済産業省「超臨界地熱発電技術研究開発」の資金等の提供を受けたものです。