JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC45] 活動的火山

コンビーナ:前田 裕太(名古屋大学)、三輪 学央(防災科学技術研究所)、西村 太志(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻)

[SVC45-34] 2007年および2014年御嶽山噴火のきっかけとなった?山頂付近やや深部の地震活動

*山中 佳子1堀川 信一郎1 (1.名古屋大学大学院環境学研究科)

キーワード:御嶽山、地震活動、2014年噴火

2017年10月より名古屋大学では、株式会社計測技研と共同開発した小型・低消費電力の地震観測テレメータ装置(堀川他,2017火山学会)の試験運用として御嶽山山頂に10点地震観測点を設置し、現在もリアルタイム観測を行っている。山中他(2018年JpGU)はこれらのデータに御嶽山から概ね10km以内にある名大の定常観測点8点、気象庁の9点を加えて2017年11月以降の山頂直下の地震活動の震源決定を行い、地震活動が剣ヶ峰の南西から西の領域(地獄谷西側)で2014年噴火の火口列周辺に集中していること、深さ0kmから-1.5kmではほぼ直線上に分布し、-1.5km付近で北東-南西方向に広がることを指摘した。さらにここで求めた観測点補正値を用いて2007年と2014年の噴火前後の地震活動の再決定を行った結果、ともに噴火前に2014年は深さ1.0km付近から-0.6km付近まで、2007年は3kmから0km付近までほぼ同じ場所でパイプ状に地震が起こっていたことがわかった。このことはこの付近から何らかの熱源が上昇してきたと考えられる。また2014年の噴火後は深さ-1.2km以浅での地震活動が活発であったが、2007年は2014年に比べて規模が小さく、浅い地震もほとんど起こっていなかった。(山中他, 2019年JpGU)
そこで本当に2014年の噴火では1.0kmより深いところで地震活動がなかったのかを調べるため、2007年の地震波形をテンプレートにして2014年の地震活動をMatched Filter法を用いて調べた。その結果、2014年9月10日前後で数多く起こっていたことがわかった。このことから地震活動が活発化したこの頃に、2007年とほぼ同じ通路を通って何らかの熱源がやや深部から上昇してきたと考えられる。
また山頂直下での地震活動が見られた2010年8月についても同様の方法で調べたところ、この時もこの付近での地震活動がやや活発化しており、ある意味噴火未遂の可能性があることもわかった。