JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC45] 活動的火山

コンビーナ:前田 裕太(名古屋大学)、三輪 学央(防災科学技術研究所)、西村 太志(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻)

[SVC45-38] 口永良部島2018年以降の噴火活動 ~その2~

*森 健彦1菅井 明2篠原 英一郎2久利 美和2気象庁 福岡管区気象台2 (1.気象庁 気象研究所、2.気象庁 福岡管区気象台)

キーワード:火山活動、噴火

口永良部島では,2014 年に1980年以来となる噴火が新岳火口で発生して以降,2015,2018,2019年と噴火を繰り返し,火山活動の高まった状態が続いていた.我々は,2019年9月の火山学会において,気象庁及び各機関の観測データから得られた知見を元に,2018 年から2019年にかけての噴火活動の推移をまとめ,報告している.その後,口永良部島は2020年1月11日に再び噴火が発生し,2020年2月11日には体積膨張を示唆する傾斜変動を伴った火山性微動が発生するなど,現段階では活発な火山活動が続いている.本講演では,2019年10月以降の火山活動の特徴についてまとめるとともに,2020年の噴火活動の推移及び噴火に至る過程で見られた特徴的な火山活動の変化について報告する.
 2019年2月の噴火後,各観測データは活動低下の傾向を示していた.しかしながら,2019年9月になると,新岳を挟むGNSSの基線長で見られていた縮みの傾向は停滞へと変化し,約100 ton/dayまで低下していた二酸化硫黄放出率は10月頃から緩やかな増加傾向へ変化した.地震活動に明瞭な活発化は見られなかったが,10月頃から,観測された地震の震央が,これまでよりもやや南側の古岳付近に位置する傾向が見られた.2020年1月になると,二酸化硫黄放出率が1000ton/dayを越え,1月11日には噴煙高度が海抜3000mを越える噴火が発生した.2月3日には火砕流を伴い,噴煙高度が海抜6000mを越える噴火が発生し,火山活動の更なる活発化が見られた.この噴火以降,地震活動が活発化する中で,二酸化硫黄放出率の一時的な減少が見られるなど,噴火前によく見られていた現象が現れたが,噴火には至らなかった.しかしながら,2月11日に火口浅部の膨張を示唆する傾斜変動を伴った火山性微動が発生した.口永良部島において,膨張を示唆する傾斜計の変化は初めての観測事例であり,現在,火山活動の変化により注視している状況である.