JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC45] 活動的火山

コンビーナ:前田 裕太(名古屋大学)、三輪 学央(防災科学技術研究所)、西村 太志(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻)

[SVC45-P09] 本白根山における2018年噴火後の自然電位および地磁気全磁力観測(2)

*山崎 明1飯野 英樹1有田 真1下川 淳1 (1.気象庁地磁気観測所)

キーワード:草津白根山、本白根山、自然電位観測、全磁力繰返し観測、熱消磁

2018年1月23日、草津白根山の本白根山で水蒸気噴火が発生し、鏡池北火砕丘や鏡池に複数の噴火口が形成された。噴火後、一時活発化した噴火口付近のごく浅部を震源とする地震活動は減少をたどり、また噴火直後に認められていた噴火口からの噴気も2018年2月下旬には観測されなくなった。地磁気観測所では噴火後の本白根山地下浅部の熱活動の状態を把握することを目的として、2018年および2019年に本白根山山頂部において自然電位および全磁力繰返し観測を実施した。
 本白根山で過去に実施された自然電位観測は、2003年の第4回草津白根山集中総合観測において、鏡池北火砕丘の北部から東部の遊歩道沿いでの観測がなされたのみであり、山頂部周辺の自然電位の全体的分布はこれまでわかっていなかった。
 自然電位の第1回目の観測は、2018年6月30日から7月2日にかけて本白根山山頂部周辺の約130点において実施した。電極は銅・硫酸銅電極を使用し、測定間隔は約50m、測定方法は全電位法で行った。第2回目の観測は、2019年7月2日から7月4日にかけて、第1回観測と同じ測線で同様の手法により実施した。地形効果の補正は、鏡池から富貴原ノ池に向かう東側斜面の測線において標高と電位に明瞭な負の相関が認められたため、この相関係数を用いることにした。相関係数は2018年観測では-1.34mV/m、2019年観測では-1.68mV/mと求められ、両者の平均値(-1.51mV/m)を補正係数とし、全測点に適用した。その結果、本白根山山頂部周辺では200~500mVの正の電位分布を示すことがわかった。特に鏡池の西~南西側や、2018年噴火の主噴火口がある鏡池北火砕丘の周縁部などで局所的に電位の高い領域が認められた。
 2018年と2019年の観測結果を比較すると、自然電位は概ね同じ分布を示しており、この一年間に大きな電位変化のなかったことがわかる。詳細に見ると、2018年噴火時の主噴火口である鏡池北火砕丘の北東部において2018年観測に比べ2019年観測では数10mV程度の有意な電位の低下が認められ、噴火後の火山活動の鎮静化と調和的であるようにも考えられる。また、この領域では2003年観測と比較しても電位に有意な違いが認められ、2018年噴火に関連した熱水系の変化を反映している可能性も指摘できる。
 地磁気全磁力観測については、噴火後の本白根山山頂部周辺に全磁力繰返し観測点を10点設置し携帯型のプロトン磁力計を用いて観測をおこなった。これまで2018年に3回、2019年に2回の計5回の繰返し観測を実施した。その結果、火山活動に関係するような全磁力変化は観測されず、噴火後の本白根山において急速な熱消磁もしくは冷却による帯磁は発生していないことが確認された。