JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC45] 活動的火山

コンビーナ:前田 裕太(名古屋大学)、三輪 学央(防災科学技術研究所)、西村 太志(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻)

[SVC45-P19] InSAR解析に基づく神津島の地表変位と圧力源に関する研究

*上原 航1小田 義也1 (1.首都大学東京)

キーワード:神津島、InSAR解析、圧力源推定

現在,日本には100以上の活火山が存在し,噴火のような火山活動により災害が発生する可能性がある.火山防災を有効に実施するためには,火山の活動性を知る事が必要である.そこで本研究は、東京都に属する火山島である神津島の地表変位の把握を目的として、InSAR(Interferometric Synthetic Aperture Radar;干渉合成開口レーダ)解析を実施するとともに、地表変位の原因となる圧力源の位置を推定した.
InSAR解析は,衛星に搭載されたSARが観測した複数のデータを干渉解析する技術であり,その解析結果より地表変位を把握する事ができる.本研究では,日本の衛星ALOS-2と欧州連合の衛星Sentinel-1Aが観測したデータを使用した.
神津島の地表変位を解析した結果,2014年12月4日から,2018年11月29日にかけて,約4 cmの地表変位が複数回確認できた.特に,神津島北東部に位置する天上山周辺で比較的大きな地表変位が確認できた.
上述のような比較的大きな地表変位が確認できる期間には,神津島周辺で水域の変色が観測されている.海水変色が火山活動に伴うものであるとすると、地表変動が火山活動に関連している可能性がある.なお、InSAR解析結果については,神津島に設置されている電子基準点との誤差が3 cm以下であること、独立した観測データ、すなわちALOS-2及びSentinel-1Aが観測したデータの解析結果が同様の変位傾向であることを確認している.
InSAR解析より明らかとなった地表変位を逆解析することにより、火山内部の圧力源位置を推定した.逆解析には,最適解探索アルゴリズムとして,焼きなまし法(Kirkpatrick et al., 1983)を採用した.比較的大きな地表変位が水域の変色と共に確認できるInSAR解析結果を逆解析した結果,神津島南東の水域地下約6 km,神津島北東の水域地下約1 km,神津島東部の水域地下約7 km,神津島北東の水域地下約6 kmの位置に球状の圧力源が推定された.このうち神津島北東及び東部の水域に推定された圧力源位置は,2013年から2018年11月29日までの震源位置と整合的であった.