JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC45] 活動的火山

コンビーナ:前田 裕太(名古屋大学)、三輪 学央(防災科学技術研究所)、西村 太志(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻)

[SVC45-P20] ディープラーニングを用いた地震波自動検測
ー八丈島における臨時地震観測データへの適用ー

*鳥取 稜平1東 宏幸1小田 義也1松岡 俊文2 (1.首都大学東京、2.(公財)深田地質研究所)

キーワード:ディープラーニング、畳み込みニューラルネットワーク、八丈島、地震波自動検測

我が国には 111 の活火山が存在しており,このうち 50 の火山が「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」として選定されている.火山の噴火リスクの評価には火山の内部構造推定など自然地震を用いた地球物理学的検討が重要である.しかしながら、我々が研究対象としている八丈島では、現在地震活動が低調であり,充分な数の地震を取得できないことが懸念されている.そこで本研究ではディープラーニングを用いた地震波自動検測を行うことで,従来,検測されなかった地震を検測することを目的とした.

機械学習を用いた方法,特にディープラーニングは,多数のラベル付けされた地震データから多数の特徴を自動的に抽出することができる.これまでの機械学習を用いた研究では,ハードウェアの問題もあり,計算速度が遅く,ネットワークの構造も単純であったために高いパフォーマンスを発揮できていなかったが,Graphic Processing Units (GPU) や計算技術の開発によって,最近の研究では高いパフォーマンスを発揮している.本研究では,Ross et al. (2018)によって提案されたConvolutional Neural Network (CNN) モデルであるGeneralized Phase Detection framework (GPD) を使用した.GPDはSouthern California Seismic Network (SCSN) のアナリストたちによってラベル付けされた地震を用いて学習されている.

まず,八丈島に設置されているF-netの地震計で観測された連続地震波形データに対してGPDの適用を行った後,我々が行っている臨時地震観測で得られた波形データへのGPDの適用を試みた.結果として両方のデータにおいて,現在,気象庁で公開されている地震の数よりも多くの地震を検出することができた.しかし,GPDはCNNを用いたネットワークであり,波形を画像として認識しているため,P-Sの時系列の関係性に関係なく,学習された特徴に基づいてピックされており,P波のみや,S波のみがピックされた地震も存在した

今後は,検出された地震の妥当性の検討を重ねていくとともに,同じディープラーニング手法である時系列データを扱うRecurrent Neural Networkを用いた解析手法についても検討を進める.