JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC45] 活動的火山

コンビーナ:前田 裕太(名古屋大学)、三輪 学央(防災科学技術研究所)、西村 太志(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻)

[SVC45-P24] ドローンを用いた九重火山における繰り返し空中磁気観測

*宇津木 充1橋本 武志2佐藤 彰紀2多田 訓子3太田 豊宣4吉川 慎1井上 寛之1 (1.京都大学、2.北海道大学、3.海洋研究開発機構、4.テラテクニカ)

キーワード:九重火山、繰り返し空中磁気観測、ドローン

九重火山では、1995年の水蒸気爆発以来磁場連続及び繰り返し観測点が行われ、九重硫黄山西側の地下浅部(数百m)にソースを持つ顕著な磁場時間変化が観測されている。ところで九重火山では、2004年12月に硫黄山周辺部において高密度な空中磁気観測が京都大学により実施された。この観測では、磁力計及びGPSを搭載した観測バードを有人ヘリコプターに曳航させ、硫黄山周辺の2km x 2kmの領域で上空(対地高度およそ150m)から磁気異常(磁場全磁力)を観測した。

この2004年の観測時から現在までの磁場時間変化を検出する事を目的に、我々は2019年10月に硫黄山周辺でドローンを用いた空中磁気観測を実施した。本観測では(有)テラテクニカ社のドローン空中磁気測定システムGSMP35U-DRを用いて全磁力の測定を行った。この観測システムは、DJI社製ドローンMatrice600proにGEM system社製ポタジウム磁力計GSMP-35Uを搭載させたものである。ドローンが発するノイズの影響を除去するため、磁力計センサーを約2.5m吊り下げ、サンプリング間隔0.05秒で全磁力測定を行う。なお位置情報にはMatrice600pro搭載のGPSによる計測データを用いる。この観測システムを用い、2004年の飛行航路のうち、硫黄山周辺の東西約1km、南北約2kmの領域で空中磁気観測を行った。

この観測で得られたデータのうち、2004年の観測点と20m以内の距離にある点のみを抜き出し計測値を比較した結果、硫黄山の北側で全磁力値が減少、南側で増加していることが分かった。この時間変化のセンスは地上観測で得られた結果と調和的であり、今回の繰り返し空中磁気観測により2004年と2019年の間の時間変化が検出できていることを示唆している。現在、この観測結果を更に精査するため、Nakatsuka et al. (2006)の交点コントロール法に基づいた解析手法でデータ解析を行っている。本発表では観測方法、及び観測データについて報告すると共に、データ解析の詳細について報告する。