JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC46] 火山防災の基礎と応用

コンビーナ:宝田 晋治(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、吉本 充宏(山梨県富士山科学研究所)、千葉 達朗(アジア航測株式会社)、久保 智弘(山梨県富士山科学研究所)

[SVC46-01] ALOS-2とSentinel-1がとらえた2019年White Island火山噴火に伴う地表変化

*山下 達也1小林 知勝1 (1.国土地理院)

2019年12月9日1:11 UTC、ニュージーランドの北部に位置するWhakaari/White Islandで水蒸気噴火が発生し、その噴煙は高度約3.7 kmに達した。この噴火に伴い、家屋損壊などの経済的損失は発生しなかったものの、同島を訪れていた複数の観光客が犠牲となった。Whakaari /White Islandの噴火について噴火の影響範囲および噴火前後の地表変動と地表変化を把握するため、ALOS-2のデータを使用して噴火前(2019/03/06-2019/11/13)と噴火前後(2019/11/13-2019/12/11)のInSAR解析と強度画像解析を行った。また、Sentinel-1の噴火前後(2019/11/27-2019/12/09)のデータについても、ALOS-2との比較のためにInSAR解析を行った。



噴火前のALOS-2画像ペアを用いたInSARの解析では、山頂付近でごくわずかであるものの、衛星から遠ざかる地表変位が見られた。同島の山頂付近にGNS Scienceによって設置されたGNSS CORSでは、マスター・スレーブ観測間に約1-2cmの沈降が観測されており、InSARの解析はGNSS CORSのデータと整合的である。一方、噴火前後のInSAR画像では、明瞭な地表変位は見られないものの、カルデラ内に噴出物の影響とみられる非干渉域が見られた。これと整合して、強度画像解析においても、カルデラ内に噴出物の影響等とみられる明瞭な地表面の変化が確認された。



Sentinel-1の噴火前後(2019/11/27-2019/12/09)のInSAR画像においても、ALOS-2で現れたのとほぼ同様のエリアで非干渉域が検出された。しかし、Sentinel-1の解析画像のピクセルスペーシングは30 mであるのに対し、ALOS-2の解析画像のピクセルスペーシングは18 mであるため、ALOS-2の画像は非干渉域の輪郭をより鮮明にとらえることができた。



解析した画像は想定される変動や火山性堆積物の理解に資するよう、Land Information New Zealandと、その地球科学研究機関であるGNS Scienceに直ちに提供されるとともに、国土地理院のウェブページで公開された。



謝辞:だいち2号のデータは,火山噴火予知連絡会衛星解析グループ(火山WG)を通じて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から提供を受けました。