JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC46] 火山防災の基礎と応用

コンビーナ:宝田 晋治(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、吉本 充宏(山梨県富士山科学研究所)、千葉 達朗(アジア航測株式会社)、久保 智弘(山梨県富士山科学研究所)

[SVC46-06] 20万分の1日本火山図閲覧検索システムの構築

*宝田 晋治1川辺 禎久1中野 俊1石塚 吉浩1星住 英夫1 (1.産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)

キーワード:第四紀火山、閲覧システム、データベース、20万分の1、SVGタイル

産総研地質調査総合センターでは,日本の約440の陸域に分布する第四紀火山について,各火山噴出物の分布・詳細データを表示可能な「20万分の1日本火山図」閲覧検索システムを構築した.本システムは,日本全国の火山噴出物について,全国を統一基準で整備した,世界的に見ても最も詳細な火山分布図・データベースであり,火山防災など多方面に利用ができる.本システムは,2020年3月より,地質調査総合センターの「日本の火山データベース」の1つとして,公開される予定である(https://gbank.gsj.jp/volcano/vmap; 図A).ここでは,閲覧検索システムの特徴を紹介する.
本システムは,ベクトルタイル技術(SVGタイル)を用いている.そのため,従来の画像タイルとは異なり,個々のタイルが属性データを持っており,タイルの機械判読ができるため,自在に検索ができる利点がある.表示されるデータは,階層1,階層2,(階層3,階層4,階層5)に区分されており,火山(火山群),火山区分,堆積物毎に属性情報が掲載されている.階層ごとに,名称,様式・地形,岩相,岩質,卓越する岩質,SiO2含有量,構成物の成因的区分,活動年代下限,活動年代上限,活動年代の備考,火山噴出物量,活動期区分,注釈・備考が記載され,データベース化されている.閲覧検索システムの火山噴出物の分布図上で岩体をクリックすることで,階層毎の詳細情報を表示できる(図A).閲覧検索システム上の火山は,国後・択捉,北海道東部,北海道西部,東北,中部・関東,富士・伊豆半島,伊豆・小笠原諸島,山陰,九州北部,九州南部,南西諸島と地域毎に区分されている.凡例は火山(火山群)毎に分かれており,ディレクトリの下位に火山(火山群)ごとの岩体名が表示される.岩体名をクリックすることで,該当する岩体が地図上に表示される.地図上でカーソルを移動させると,カーソルの下にある該当する岩体全てがハイライト表示され,各噴出物の分布を把握することができる(図B).また,凡例にあるチェックボックスにより,必要な岩体だけを表示させることが可能である.検索機能については,簡易検索では,テキストによる絞り込み検索が可能であり,画面上に該当する岩体のみが表示される(図B).詳細検索では,項目毎(例えば,第2階層の火山名,岩相,岩質,活動年代)の絞り込み検索や,複合的な条件文による検索が可能である.例えば,全国の完新世の流紋岩を含む岩体を表示することができる.背景地図には,Google Maps, 地理院地図,赤色立体地図を表示できる.また,VEI6以上の主要なカルデラを表示している.GISデータのダウンロードについては,準備を進めている所である
20万分の1日本火山図の閲覧検索システムは,現時点では,統一基準で作成された最も詳細な火山分布図・データベースであり,研究者だけではなく,防災関係者,アウトリーチ関係者など,今後,多くの方にご利用頂きたい.

図.20万分の1日本火山図の閲覧検索画面.A.十和田・八甲田火山付近を表示.地図上で岩体をクリックすると,詳細情報が表示される.B. 検索結果(”霧島“で検索).霧島の岩体のみが表示されている.カーソルを持って行くと,その岩体の分布と凡例がハイライト表示される.