[SVC46-P05] 活火山周辺の退避壕・シェルターの種類と特徴
キーワード:退避壕、活火山、避難
御嶽山2014年噴火では、火口近傍で噴石により多数の死者・負傷者が出るなど甚大な被害が発生した。この噴火の後、内閣府は2015年に「活火山における退避壕等の充実に向けた手引き(以下、手引きと略す)」を策定した。現在、手引きに沿った退避壕等の整備が全国で進められている。噴火時に退避する場所の名称には、退避壕、退避舎、退避施設、シェルターなどがあるが、本研究では退避壕等と呼ぶこととする。御嶽山2014年噴火前までは、噴石の被害を受けた火山(阿蘇山・桜島など)を中心に鉄筋コンクリート造(RC造)の退避壕等が設置されてきた。手引きでは木造建物の強化など従来の退避壕等とは異なるタイプも提示されているほか、新たなタイプの退避壕等も開発されている。本研究では我が国の活火山周辺の退避壕等の種類と特徴について報告する。
手引きでは、退避壕等を大きく2つの施設に区分している。専用施設は避難専用として用いる施設である。一方、兼用施設はレストハウスやビジターセンターなどの一部を避難に利用する施設である。
専用施設で用いられる構造はRC造と鉄骨造である。RC造は現場打ちコンクリートと既成カルバートに分けられる。現場打ちコンクリートは屋根の厚みを自由に変更できるほか、小窓が設置できるなど設計の自由度が高いことが特徴である。既成カルバートには矩形形状のボックスカルバート、アーチ形状のアーチカルバートなど種類があり、緊急時には既製品を運搬して設置することが可能である。ボックスカルバートは屋根部分に土のう袋など衝撃吸収材を設置できる特徴がある。鉄構造は工事現場など一時的に設置するものが桜島などで利用されてきた。平板状の鋼板を用いて作成された既製品(大きさは数m程度)で、トラック等で運搬できるものである。近年、鋼板を加工したデッキプレートを用いて強度を増加させた新しいタイプの鋼製退避壕も開発されている(山田・他,2019)。この退避壕は恒久的な設置が可能なタイプで、御嶽山の王滝頂上に設置されている。
兼用施設で用いられる構造はRC造と木造である。レストハウスやビジターセンターの建物全体または建物の一部をRC造として建築され、避難場所として利用されている。また、あずま屋やトイレなど利用者が滞留しやすい場所をRC造として建築されているケースもある。木造建物では、屋根や天井をアラミド繊維で補強し、こぶし大の噴石に耐えられるように強化される方法が手引きで示されている。手引き作成後、山小屋やビジターセンターなどの木造建物でアラミド繊維を用いた補強が進められている。
わが国では様々なタイプの退避壕等が設置されているが、噴石の大きさ、速度、分布密度を考慮した場合、適切ではないタイプが選定されている可能性がある。退避壕等のタイプ選定の基準や検討手法は明確になっておらず、今後検討すべき重要な課題と考えられる。
手引きでは、退避壕等を大きく2つの施設に区分している。専用施設は避難専用として用いる施設である。一方、兼用施設はレストハウスやビジターセンターなどの一部を避難に利用する施設である。
専用施設で用いられる構造はRC造と鉄骨造である。RC造は現場打ちコンクリートと既成カルバートに分けられる。現場打ちコンクリートは屋根の厚みを自由に変更できるほか、小窓が設置できるなど設計の自由度が高いことが特徴である。既成カルバートには矩形形状のボックスカルバート、アーチ形状のアーチカルバートなど種類があり、緊急時には既製品を運搬して設置することが可能である。ボックスカルバートは屋根部分に土のう袋など衝撃吸収材を設置できる特徴がある。鉄構造は工事現場など一時的に設置するものが桜島などで利用されてきた。平板状の鋼板を用いて作成された既製品(大きさは数m程度)で、トラック等で運搬できるものである。近年、鋼板を加工したデッキプレートを用いて強度を増加させた新しいタイプの鋼製退避壕も開発されている(山田・他,2019)。この退避壕は恒久的な設置が可能なタイプで、御嶽山の王滝頂上に設置されている。
兼用施設で用いられる構造はRC造と木造である。レストハウスやビジターセンターの建物全体または建物の一部をRC造として建築され、避難場所として利用されている。また、あずま屋やトイレなど利用者が滞留しやすい場所をRC造として建築されているケースもある。木造建物では、屋根や天井をアラミド繊維で補強し、こぶし大の噴石に耐えられるように強化される方法が手引きで示されている。手引き作成後、山小屋やビジターセンターなどの木造建物でアラミド繊維を用いた補強が進められている。
わが国では様々なタイプの退避壕等が設置されているが、噴石の大きさ、速度、分布密度を考慮した場合、適切ではないタイプが選定されている可能性がある。退避壕等のタイプ選定の基準や検討手法は明確になっておらず、今後検討すべき重要な課題と考えられる。