Japan Geoscience Union Meeting 2022

Exhibitors' information

Remote Sensing Society of Japan

Remote Sensing Society of Japan

リモートセンシングとは?
  あらゆる物質は光などの電磁波を受けると、それぞれの種類と性質に応じて、それぞれの波長ごとに反射または吸収する性質を持ちます。また物質が熱を持つと、その性質に応じてそれぞれの波長ごとに特有の割合で電磁波を放射します。これらの性質を利用して、それぞれの物質の反射ないし放射する電磁波の波長とその強さから、その物質が何であるかを推定することができます。この原理を応用して地表付近の大気、植生、土壌、水などの状態を、人工衛星などのプラットフォームに搭載されたセンサによって観測し、対象物に関する情報を得て、様々な分野に利用する技術(あるいは科学)を言います。
「リモートセンシング」という言葉は、1950年代末に米国の海軍研究所の地理学者により始めて使われました。1972年、米国が地球観測衛星Landsatを打ち上げた後、その言葉は世界的に広まり、日本では、「遠隔探査」と訳したこともありましたが、現在のカタカナ表記が定着しております。1980年代にはフランス、日本、インドなどの国々が地球観測衛星を打ち上げ、また現在では地球環境の監視および災害、農業、資源探査などの様々な利用のために多くの地球観測衛星が運用されております。
プラットフォームの視点から、衛星リモートセンシング、航空機リモートセンシングと呼ぶことがあります。衛星リモートセンシングはいわゆるリモートセンシングの主流を成すといえるでしょう。

衛星リモートセンシングの特長は次のとおりです。
1. 広い地域をほぼ同時に観測できる(広域同時性)。
2. 決まった周期で定期的に観測できる(反復性)。
3. 可視光だけでなく様々な波長帯で観測できる(多波長性)。

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日本リモートセンシング学会の概要
 (一社)日本リモートセンシング学会は、リモートセンシングに関する研究の連絡、提携を図り、学問および技術の発展、普及に寄与することを目的として1981年に設立されました。学会発足後から、学会誌の発行、各種研究会や講演会を開催して学問の普及に勤め、会員相互の親睦・連絡を図っています。
 学会員の活動分野は環境監視、気象、海洋、生態、地理、測量、地質、資源探査、農林業、水産、土木、建築、情報、計測、機械、宇宙開発、行政などの幅広い分野に亘り、既存の学問領域を越えた闊達な議論が進められています。
 近年、LANDSATなど一部衛星データの無償化、ドローンの普及などが進み、リモートセンシングはますます身近な技術かつ学問分野となっています。会員による様々な活動を通じて、リモートセンシングのさらなる発展に努めていきたいと考えています。
(会員数 2021年度末 正会員・学生会員等 979 法人会員 51)
 
研究事例の紹介
本学会の問題生態系計測研究会の研究事例を紹介します。

農業生態系(井上吉雄)
 焼畑農業はインドシナ半島からインドにまたがる山岳地帯(ベトナム・ラオス・中国・ミャンマー・バングラデシュ・インド)では,重要な食糧生産システムとして長い歴史をもつ持続的な伝統農法であった。しかし,過去半世紀程の間に,人口増加と土地利用規制にともなって,焼畑面積の拡大と休閑期間の短縮化が進んできた。
 これに伴って,主要作物であるイネの収量低下や雑草害の増加などの傾向が認められており,土地生産性ならびに労働生産性のいずれにおいても多大な影響がでてきている。さらに,土壌侵食や生物資源(非木材林産物や在来作物品種)の損耗,水資源涵養機能の低下,CO2の放出など,地域環境・地球環境への悪影響も懸念されている。したがって,食糧の生産性と生物資源の持続性・環境負荷の低減化を両立させるための代替的な土地利用ならびに生態系管理シナリオを策定することが重要な課題となっている。
 しかし,対象となる山岳焼畑地帯は地勢的に急傾斜かつ交通インフラが乏しいためアクセスが容易でなく,また,土地利用や森林資源・炭素動態の変化に関する信頼性の高い定量的データ,特に空間的なデータや情報は極めて乏しい。
 そこで、リモートセンシング・GISを用いてまず広域的な土地利用と植被動態の解明を進めた。つぎに,それによって得られる空間情報を土壌・バイオマス等の現地調査データと統合するアプローチにより,土地利用・生態系炭素動態の長期的・広域的変化を定量評価した。さらに,それらに基づいて,地域スケールの生態系管理シナリオにおける炭素固定ポテンシャルならびに総合的な食糧生産性を比較分析する試みを行った。

 
Aquatic Plant Invasion《湖沼生態系》 (伊東明彦・石山 隆)
 
 近年、世界各地の湖沼、例えば、ビクトリア湖(東アフリカ)、ジェベルオーリア湖(スーダン)、プロコボンド湖(スリナム)、その他、北米、南米、日本の湖沼を含むアジア各地において、工場排水、生活排水、化学肥料が雨季に河川、湖沼へ流入し、栄養塩による富栄養化現象が起きています。その結果、水質の富栄養化に適応した水生植物、特にホテイアオイ(Water Hyacinth, Eichhornia crassipes,)の異常繁殖が問題になっています。
湖沼への水生植物の異常繁殖は次のような環境への影響が考えられます。      湖水への酸素供給の減少、湖水への光の透過の減少、また産業への影響としては、水生植物による漁業過程の物理的妨害による漁業損害、船舶の航行妨害、潅漑システムへの雑草の侵入による損失(水路封鎖、水損失、栄養分の競合、魚類の減少)などが挙げられます。
 
 ビクトリア湖周辺では1980年に入り、湖の周囲の森林伐採、沼沢地を乾燥させ、茶、コーヒー、砂糖のプランテーションを開発しました。それによる化学肥料が雨季に河川に流入し、湖沼に栄養塩を供給することになります。さらに湖周辺の人口増加による家庭雑排水が湖に流入し水質の汚濁が上昇しました。その結果、魚類(ナイルパーチ、その他希少魚類)が減少して、生態系の変化(貧相な生物相)が起きています。ホテイアオイの劇的な増加は地域の環境に深刻な問題をもたらしています。  

 下図はPALSARデータ(HH)によるビクトリア湖キスム湾のホテイアオイの分布の解析結果(2007.3.13)です。ホテイアオイの群落がキスム湾の湖岸から沖合に向かって拡散していることがわかります。

Distribution of water hyacinth in Lake Victoria derived from PALSAR data.
 
入会案内
会員種別と年会費について
正会員(個人)…年会費  8,500円
正会員(法人)…年会費  70,000円
学生会員   …年会費  4,000円
団体会員   …年会費  20,000円

会員の利点
正会員(個人)の利点
1.学会誌の定期購読
 会員には本学会の機関誌であるリモートセンシング学会誌が定期的に配布されます。学会誌は現在、年4回発行されています。
2.論文等の投稿
 日本リモートセンシング学会誌へ投稿料なしで(非会員は投稿料が必要)論文や報告等を投稿できます。本学会誌には査読を経た原著論文が掲載されており、学術的に高い評価を得ています。
3.学術講演会
 年2回、春と秋に開催される学術講演会に参加し、論文発表を行うことができます(非会員は参加費が割高)。
4.学会賞
 学会誌に掲載された論文は、本学会で毎年表彰を行っている論文賞と論文奨励賞の選考対象となります。また学術講演会での発表論文は、同様に優秀論文発表賞の選考対象となります。
5.研究会への参加
 本学会にはいくつかの研究会が組織されており、それらに参加できます。
6.役員選挙への参加
 本学会は役員の公選を行っており、正会員(個人)は選挙権と被選挙権を有しています。

正会員(法人)の利点
日本リモートセンシング学会では、正会員(法人)の入会を随時受け付けています。
1.日本リモートセンシング学会誌(年4号発行)を毎号2冊ずつお送りします。
2.学術講演会(年2回開催)の論文集を毎回1冊ずつお送りします。
3.学術講演会(年2回開催)に一口に付き1名様が参加費(通常5,000円)免除でご参加いただけます。それを超える人数については、正会員(個人)の参加費でご参加いただけます。
4.学会誌と学会ホームページに正会員(法人)の会員名簿を掲載します。
5.学会ホームページから正会員(法人)のホームページへリンクを張らせていただきます。
6.正会員(法人)のホームページから学会ホームページ(http://www.rssj.co.jp)へリンクを張ることができます。ただし、リンクを張ることができるホームページは、本学会の理事会によって、リモートセンシングの啓発・普及に貢献すると判断されたものに限ります。
7.学会誌に優先的に広告を掲載させていただきます。2口以上の場合、口数に応じた回数で広告を無料掲載していただけます(2022年5月現在)。
8.学術講演会(年2回開催)に併設する企業展示に参加される場合(別途有料)、展示料金を割り引かせていただき、その展示場所も可能な限り優遇させていただきます。
9.正会員(法人)からのお知らせ(求人情報およびイベント情報)をメールニュースで会員に配信します。

入会方法
随時受け付けております。学会事務局にご連絡ください。個人(学生)会員はオンラインでの入会も受け付けています。