日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS02] 大気の鉛直運動を基軸とした地球環境学の新展開

2022年5月30日(月) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (6) (Ch.06)

コンビーナ:佐藤 正樹(東京大学大気海洋研究所)、コンビーナ:佐藤 薫(東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻)、岡本 創(九州大学)、コンビーナ:丹羽 洋介(国立環境研究所)、座長:佐藤 正樹(東京大学大気海洋研究所)、佐藤 薫(東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻)、岡本 創(九州大学)、丹羽 洋介(国立環境研究所)

11:00 〜 13:00

[AAS02-P05] 空中ドローンと水上フロートによる海上同期観測データを用いた、海上風鉛直モデルの検証

*梅宮 悠輔1小阪 尚子1、飯塚 達哉1、伊丹 豪1、中村 亨1、倉 恒子1、村田 揚成2、御手洗 哲司2 (1.NTT宇宙環境エネルギー研究所、2.沖縄科学技術大学大学院)

キーワード:海上観測、空中ドローン、ウェーブグライダー、海上風、鉛直分布、海上風速

海上観測データを扱う場合、風速は海表面による抗力の影響を無視するため、高度10mの値に換算し、これを表層風の風速 U10とすることが一般的である。この換算には、海表面による抗力を考慮し、高さ方向の対数的な分布を仮定した風速の鉛直分布式が用いられる(Large and Pond, 1981)。この抗力は、風速に応じた定数 Cd として式に導入され、モデルや観測地域に応じて設定される(例えば、Hara and Belcher, 2004、Zedlar et al., 2002)。また、ブイ等の洋上観測データによって、この換算式の推定や検証を行った例があるが、海上での高度10 m以上の領域(以下、洋上大気)での直接観測の例が少ないことから、洋上大気のデータは衛星データを用いることが主流であり(例えば、Suzuki et al., 2018)、直接観測のみによって検証された例はほとんどない。
そこで私たちは、直接観測による洋上大気の鉛直プロファイルのデータを得るため、2021年11月に沖縄近海にて観測実験を行った。この実験では、海表面を測る観測機器としてウェーブグライダー(Liquid Robotics社製)、そして洋上大気を測る観測機器として空中ドローン(ACSL社製)を同時利用し、海上における同期観測を行った。本研究では、Large and Pond (1981)で記述される海上風の鉛直分布式と今回の観測データの比較を行い、同期観測の有効性の評価と今回のような局所的な観測データによる分布式の検証を行った。今後の継続的な同期観測によって、さまざまな風速域での正確な海上風の鉛直分布式が推定されれば、ウェーブグライダーなどの極端気象条件下での観測実績(Mitarai and McWilliams, 2016)のある水上フロートによって、極端気象予測に役立つような海上風やそれに伴う水蒸気の移送の情報が得られる可能性がある。