日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS03] 大規模な水蒸気場と組織化した雲システム

2022年5月25日(水) 09:00 〜 10:30 106 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:横井 覚(海洋研究開発機構)、コンビーナ:三浦 裕亮(国立大学法人 東京大学大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻)、濱田 篤(富山大学)、コンビーナ:高須賀 大輔(海洋研究開発機構)、座長:濱田 篤(富山大学)、高須賀 大輔(海洋研究開発機構)

10:10 〜 10:25

[AAS03-05] シャノンの情報エントロピーを用いた雲の自己組織化についての定量解析:放射対流平衡実験における結果

*神野 拓哉1三浦 裕亮1 (1.東京大学大学院理学系研究科)

キーワード:放射対流平衡、組織化、情報エントロピー

降水の強さや大気を出入りする放射フラックスは雲の時空間分布によって激しく変化し、地球の気候に大きな影響を与える。この変化を物理的に理解するためには、雲と降水の組織化に関わる複雑なメカニズムを階層的なプロセスごとに切り分けることが有益である。本研究では雲の自己組織化の程度を定量化する指標として、時空間パターンの乱雑さに対応する指標であるシャノンの情報エントロピーを時空間変動の直交関数展開から算出して利用した。雲解像モデルでの放射対流平衡実験から得た外向き長波放射と可降水量のデータに対して解析した結果、実験領域全体の乾燥化トレンドや、対流活発な湿潤域の出現などの各変動モードを分離することができ、さらに雲クラスターが形成されるのと連動して情報エントロピーの値が低下するのが確認された。高解像度かつ理想化された環境下で現れる自己組織化現象に対しては情報エントロピーを用いた解析が有用であることへの示唆が得られた。