16:15 〜 16:30
[AAS11-20] 陸別高分解能FTIRによるイソプレンカラム量の長期変動解析
キーワード:イソプレン、対流圏、長期変動
日中、大気中の炭化水素は窒素酸化物(NOx)との化学反応過程により大気汚染物質である対流圏オゾンを生成する。そのため大気質の保全の観点からは、炭化水素の大気への排出管理が重要である。大気中の炭化水素の多くは揮発性有機化合物(VOCs)として排出され、その約1/3がイソプレンである。したがって、大気中のイソプレン動態を把握することは大気汚染の理解に不可欠であり、またその長期的変動に関しては、継続したモニタリング観測が不可欠である。大気中のイソプレン観測の多くは、分析化学手法による地表付近でのサンプリング観測であり、対流圏全体をカバーしたモニタリング観測はほとんど行われていない。そこで我々は太陽光のイソプレンによる吸収スペクトルから対流圏カラム量の解析を行った。解析には、北海道陸別町で国立環境研究所とともに運用している地上高分解能フーリエ変換型赤外分光器による太陽光吸収スペクトルのうち波長11 μm帯のデータを用いた。1995年以降に取得された波数領域885-900 cm-1のスペクトルデータを用い、高度分布解析ソフトSFIT4でCO2と水蒸気の高度分布を事前に解析し、引き続いてCFC-12, HCFC-142b, NH3, HNO3と同時にイソプレンの高度分布を求めてカラム量を得た。イソプレン等の微量成分の初期推定値にはWACCMによる1980年から2040年までのシミュレーションの陸別上空における平均高度分布を用い、分光パラメータはNASA/JPLグループによる疑似分光パラメータを用いた。気温・気圧の高度分布は観測日当日のNCEP Reanalysis日平均データを用いた。
解析の結果、イソプレンカラム量は(2-8)×1014 cm-2で、冬期は他の季節と比べて小さい値であることがわかった。また冬期以外では得られたカラム量のばらつきが大きく、有意なトレンドもみられなかった。発表では、観測されたイソプレンカラム量の季節変動、長期変動に加え、改良されたカラム量解析手法についても併せて報告する。
解析の結果、イソプレンカラム量は(2-8)×1014 cm-2で、冬期は他の季節と比べて小さい値であることがわかった。また冬期以外では得られたカラム量のばらつきが大きく、有意なトレンドもみられなかった。発表では、観測されたイソプレンカラム量の季節変動、長期変動に加え、改良されたカラム量解析手法についても併せて報告する。