日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS11] 大気化学

2022年5月29日(日) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (8) (Ch.08)

コンビーナ:内田 里沙(一般財団法人 日本自動車研究所)、コンビーナ:坂本 陽介(京都大学大学院地球環境学堂)、岩本 洋子(広島大学大学院統合生命科学研究科)、コンビーナ:石戸谷 重之(産業技術総合研究所)、座長:内田 里沙(一般財団法人 日本自動車研究所)、坂本 陽介(京都大学大学院地球環境学堂)、岩本 洋子(広島大学大学院統合生命科学研究科)、石戸谷 重之(産業技術総合研究所)

11:00 〜 13:00

[AAS11-P09] フィルタサンプリングおよび蛍光スペクトル測定によるバイオエアロゾル定量法の開発

*北 和之1、関口 碧2、川上 花音2、南尾 健太1牧 輝弥3、保坂 健太郎4五十嵐 康人5 (1.茨城大学大学院理工学研究科、2.茨城大学理学部、3.近畿大学大学院理工学研究科、4.国立科学博物館植物研究部、5.京都大学複合原子力科学研究所)

キーワード:バイオエアロゾル、測定手法、蛍光

生物圏から大気中に放出される一次有機微粒子であるバイオエアロゾル(以下BA)は、比較的高温で氷晶核として働く可能性が認識され、地球科学における関心が高まっている。特に真菌胞子は、放射性セシウムの再飛散担体としても重要である。これらの影響を理解する上で、BAをカテゴリ(細菌・真菌胞子・花粉など)ごとに定量する観測手法の確立が必要である。
BA濃度の測定には、WIBSなど蛍光エアロゾルカウンターが使用されているが、花粉、バクテリア、真菌胞子など様々なカテゴリのBA粒子を分離してそれぞれ定量できるか不確定性があることと、高価であり多点観測や長期観測は難しいなどの問題点もある。そこで本研究では、簡便に多点での測定を可能とするBAフィルタサンプラと、フィルタに捕集されたBAの詳細な蛍光スペクトルを測定することで、各カテゴリBAを定量するシステムを開発している。
BAフィルタサンプラは、テフロンメンブランフィルタを通して空気を吸引する一種のローボリュームエアサンプラで、MFCと気圧センサで流量をコントロールし、制御と流量記録にはマイコン(Raspberry Pi)を使用して、指定したタイミングで、複数のフィルタにエアロゾルサンプリングを可能としている。エアロゾルを捕集したフィルタを持ち帰り、UV-LEDを用い4つの異なる波長の励起光を交互に照射し、蛍光スペクトルを分光器で測定する。まず、複数種の花粉、担子菌胞子、子嚢菌胞子、バクテリア、土壌粒子をそれぞれフィルタに捕集した試料を作成し、その蛍光スペクトルを測定し、それぞれが有意な違いがあることを確認した。またそのフィルタ試料上の粒子密度を、蛍光顕微鏡観察により測定し、蛍光スペクトル強度との比例係数を求めた。それにより、大気粒子をサンプリングしたフィルタ試料の蛍光スペクトル強度から各カテゴリのBA濃度を定量することが可能となる。講演会時には、これらの結果と大気BA濃度観測に応用した例を紹介したい。