日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC28] 雪氷学

2022年6月3日(金) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (8) (Ch.08)

コンビーナ:紺屋 恵子(海洋研究開発機構)、コンビーナ:石川 守(北海道大学)、砂子 宗次朗(防災科学技術研究所)、コンビーナ:舘山 一孝(国立大学法人 北見工業大学)、座長:紺屋 恵子(海洋研究開発機構)、砂子 宗次朗(防災科学技術研究所)


11:00 〜 13:00

[ACC28-P05] 衛星マイクロ波放射計による陸別および北極域の雪氷観測

*アリマス ヌアスムグリ1榎本 浩之1,2 (1.国立極地研究所、2.総研大)

キーワード:陸別町、北極域、融解

積雪域や氷床の融解は、気候変動の影響や水循環、防災などにとって重要な情報である。融解の観測には、衛星観測が活用されている。雪氷の反射特性の変化を可視、近赤外で調べる方法や、雪氷温度が融点に至ることを赤外観測で調べるもの、積雪が水分を含んだことをマイクロ波放射から調べる方法などがある。全天候、夜間でも融解が観測できるマイクロ波による観測は、1980年代に衛星マイクロ波観測が可能になったときより利用されてきた。主な観測アルゴリズムとしてXPGR(Cross-Polarization Gradient Ratio)という方法が1990年代後半から使用され、氷床融解の指標として気候変動研究に利用されてきた。また、陸上の積雪域の融解観測には、融解が起きる昼と凍結する夜のマイクロ波放射の差(Diurnal Amplitude variation: DAV)という手法が利用されている。今回は、XPGRとDAVのそれぞれの特徴や使用上の注意点を調べた。 
 本研究では、AMSR_EおよびAMSR2のデータを使ったXPGRとDAVの比較を行ったが、観測時刻が13:30(Ascending)と01:30(Descending)であることはDAVには有効であるが、XPGRはAscendingのデータに注目した。XPGRは融解が起きて表面の水分が増加しているときは、かえって融解を見逃してしまうことが予想された。
今回は陸別町と北極域を中心とした解析でしたが、今後日サイクルでの雪氷温度変化や融解・再凍結の確認が可能な南極氷床での現地連続観測データの解析を行い、両者の特性と有効な使用法を確認する予定である。