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[ACG33-05] オホーツク海海氷面積の急減少をもたらす大気循環場
キーワード:海氷、温帯低気圧、オホーツク海、西太平洋パターン
オホーツク海は11月から6月にかけて、広い範囲で海氷に覆われる。海氷密接度の空間分布は、風応力、海流や河川流出量などの影響を受ける。オホーツク海海氷密接度の年々変動は、海面熱収支を変えることで大気大循環に影響する。先行研究は、オホーツク海海氷密接度の年々変動は冬季東アジアモンスーン、アリューシャン低気圧、北極振動、北大西洋振動、西太平洋パターンの影響を受けることを、月平均や季節平均データの解析を通して見出している。本研究では、GLORYS12V1による日平均海氷密接度データを用いて、海氷の急減イベントを調査する。OISST version 2を用いると、同様の結果が得られることを確認している。例として、2017年12月25日には、地上では二つ玉低気圧が日本列島を横断し、上空では日本の東側にリッジ、日本上空にトラフが張り出し、30日にかけて北側に正の高度場偏差が存在する西太平洋パターンが持続していた。地上では低気圧が発達し、強い東風がオホーツク海に吹き付けていた。1993/94冬季(12月1日から2月15日まで)から2018/19冬季までを対象に、オホーツク海海氷密接度が減少する同様の事例を抽出したところ、21事例が抽出された。合成解析すると、北日本の北東側を中心とした地上の低気圧、その北側の高気圧と、オホーツク海に吹き込む東風偏差が得られた。また、21事例全てにおいて北側が正の高度場パターンが2日以上持続していた。この高度場パターンに伴う東風は、オホーツク海の海氷を西に押し込み、領域平均した海氷密接度を急激に減少させることが明らかになった。