日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG33] 中緯度大気海洋相互作用

2022年5月26日(木) 10:45 〜 12:15 201A (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:木戸 晶一郎(海洋開発研究機構 付加価値創生部門 アプリケーションラボ)、コンビーナ:関澤 偲温(東京大学先端科学技術研究センター)、桂 将太(カリフォルニア大学サンディエゴ校スクリプス海洋研究所)、コンビーナ:安藤 雄太(新潟大学理学部)、座長:桂 将太(カリフォルニア大学サンディエゴ校スクリプス海洋研究所)、安藤 雄太(新潟大学理学部)

11:45 〜 12:00

[ACG33-10] 高解像度大気海洋結合モデル(MIROC6)でシミュレートされた「北太平洋熱波」

*松浦 知徳1安田 一郎2建部 洋晶3 (1.東京大学大気海洋研究所、2.東京大学、3.海洋研究開発機構)

キーワード:北太平洋熱波、大気海洋結合モデル、北太平洋10年変動、ENSO10年スケール変動

最近注目されている大気海洋結合現象「北太平洋熱波 (The North Pacific Marine Heatwaves; MHW)」を高解像度大気海洋結合モデル(MIROC6)で現実に近い形でシミュレートした。270年間のシミュレーション結果の解析において、北東太平洋アラスカ湾海域 (The Gulf of Alaska; GOA)上に16回の高温SST(海面水温)アノマリーのイベントが出現した。それらは、GOA海域 (160°W-130°W, 35°N-58°N)において、1.5°C以上の標準偏差を持ち、太平洋10年変動 (The Pacific decadal variability: PDV) と関連したSSTの水温上昇によって特徴づけられる。SSTとSLP(海面気圧)アノマリーの時間変遷パターンは、2014/2015に観測されている”the Warm Blob”と名付けられた偏差の特に大きなMHW (Di Lorenzo and Mantua, 2016) と類似の挙動として捉えられた。このシミュレートされたMHWイベントの解析から、NPGO (PDO第2モード)、PDO、およびdecadal ENSO (NINO3.4) とのタイミングの繋がりが明らかとなった。海洋力学的観点からの北太平洋中緯度の海洋上層・中層時間推移解析において、水塊(水温、塩分、渦位)の東進(新沼2022、修論参照)がモデルMHWイベントの発生に重要な役割を果たしていることが分かった。