日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG35] 熱帯におけるマルチスケール大気海洋相互作用

2022年5月25日(水) 13:45 〜 15:15 201A (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:東塚 知己(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、コンビーナ:Richter Ingo(JAMSTEC Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology)、今田 由紀子(気象庁気象研究所)、コンビーナ:大庭 雅道(電力中央研究所)、座長:東塚 知己(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、大庭 雅道(電力中央研究所)

14:00 〜 14:15

[ACG35-02] 夏季オーストラリアモンスーンの経年変動の自己維持的なメカニズム

*関澤 偲温1中村 尚1小坂 優1 (1.東京大学先端科学技術研究センター)

オーストラリア北部(NAUS)における夏季オーストラリアモンスーン(AUSM)期間の平均降水量は,熱帯海面水温(SST)からの影響が弱いにもかかわらず,顕著な経年変動を示す。本研究はこのAUSM降水量変動の維持メカニズムを調査し,大気-海洋-陸面相互作用系における自己維持的な性質を明らかにする。AUSMが平年よりも強いときには,NAUSの強い対流活動に対する応答として,下層のモンスーン循環が強化される。熱帯南東インド洋(SEIO)上の強化されたモンスーン西風は,海面蒸発とNAUSへの水蒸気輸送を増大させる。この風-蒸発-対流のフィードバックを,湿潤静的エネルギーの収支解析を通して確認する。このフィードバックメカニズムは,強いAUSMによるSEIOでのSSTの低下が弱く,海面蒸発の減少をもたらさないときに効果的にはたらく。海洋モデル実験に基づく混合層熱収支解析により,風によってSEIO亜表層に生じる下降流偏差が,このSST低下を部分的に相殺することを明らかにする。また,降水量偏差の持続性に対する土壌水分と陸面蒸発の効果についても議論する。