11:00 〜 13:00
[ACG39-P02] ひまわり8号データを利用した葉面積指数の高時間分解能検索
キーワード:静止衛星、ひまわり8号、葉面積指数
橋本達希, 市井和仁, 山本雄平, 小林秀樹, Wei Li, Wei Yang
要旨:
LAI (Leaf Area Index; 葉面積指数) は単位地表面積当たりに存在する葉の面積の総和を表し、植生の物理量の中でも広く用いられているものの一つである。LAIは植生の放射収支、光合成量、炭素吸収能力などを表す重要な指標である。また、植生の展葉・落葉などフェノロジーの変化や気候変動、人為活動による植生の増減を把握するためにも広く利用されている。衛星観測は広域を高い空間解像度で繰り返し観測するため、衛星観測を利用したLAIの推定が広く行われてきた。米国Terra衛星搭載MODISセンサや日本のGCOM–C衛星搭載SGLIセンサなど、より各センサからのプロダクトとしても提供されている。一方で従来型の衛星観測では、1日に約1回の頻度での同地点の観測に留まっており、雲の存在により、8日以上の間隔でのデータ提供に留まっていた。さらに雲の多い地域や季節では欠損が頻発した。ひまわり8号は、2015年7月から観測を開始した日本の静止気象衛星である。10分に1回の高い観測頻度に加え、ひまわり7号より可視・近赤外域に複数の波長帯を持つようになり、陸面モニタリングへの期待が高まっている。ひまわり8号を利用できれば、従来の衛星観測に比較して観測頻度が格段に増え、LAI推定の時間間隔も短くできる。本研究は、植生の3次元放射伝達モデルFLiESを利用し、ひまわり8号データからLAIを推定する手法を構築することを目的とした。FLiESモデルは日本が2017年に打ち上げたGCOM-C衛星搭載SGLIセンサのFPAR/LAIプロダクト構築に際し、基盤放射伝達モデルとして利用されている。このFLiESを用いてLUT (Look–Up–Table) を植生タイプごとに構築した。LUTは太陽と衛星の幾何条件、LAI、地表面反射率を組み合わせたものを構築した。構築したLUTを用い、衛星で観測した大気補正を行った地表面反射率を用いることで、LAIの逆推定を行った。結果として、作成したLUTを用いることでひまわり8号の観測データを用いたLAI推定の手法を構築することができた。精度検証として、現地観測の2地点と推定値を比較したところ、過小評価の傾向がみられた。今後の課題として、既存のLAI推定プロダクト (SGLI) と比較することで精度を検証する。推定の期間を広げることで雲被覆の影響を減らすことなどを考えている。
要旨:
LAI (Leaf Area Index; 葉面積指数) は単位地表面積当たりに存在する葉の面積の総和を表し、植生の物理量の中でも広く用いられているものの一つである。LAIは植生の放射収支、光合成量、炭素吸収能力などを表す重要な指標である。また、植生の展葉・落葉などフェノロジーの変化や気候変動、人為活動による植生の増減を把握するためにも広く利用されている。衛星観測は広域を高い空間解像度で繰り返し観測するため、衛星観測を利用したLAIの推定が広く行われてきた。米国Terra衛星搭載MODISセンサや日本のGCOM–C衛星搭載SGLIセンサなど、より各センサからのプロダクトとしても提供されている。一方で従来型の衛星観測では、1日に約1回の頻度での同地点の観測に留まっており、雲の存在により、8日以上の間隔でのデータ提供に留まっていた。さらに雲の多い地域や季節では欠損が頻発した。ひまわり8号は、2015年7月から観測を開始した日本の静止気象衛星である。10分に1回の高い観測頻度に加え、ひまわり7号より可視・近赤外域に複数の波長帯を持つようになり、陸面モニタリングへの期待が高まっている。ひまわり8号を利用できれば、従来の衛星観測に比較して観測頻度が格段に増え、LAI推定の時間間隔も短くできる。本研究は、植生の3次元放射伝達モデルFLiESを利用し、ひまわり8号データからLAIを推定する手法を構築することを目的とした。FLiESモデルは日本が2017年に打ち上げたGCOM-C衛星搭載SGLIセンサのFPAR/LAIプロダクト構築に際し、基盤放射伝達モデルとして利用されている。このFLiESを用いてLUT (Look–Up–Table) を植生タイプごとに構築した。LUTは太陽と衛星の幾何条件、LAI、地表面反射率を組み合わせたものを構築した。構築したLUTを用い、衛星で観測した大気補正を行った地表面反射率を用いることで、LAIの逆推定を行った。結果として、作成したLUTを用いることでひまわり8号の観測データを用いたLAI推定の手法を構築することができた。精度検証として、現地観測の2地点と推定値を比較したところ、過小評価の傾向がみられた。今後の課題として、既存のLAI推定プロダクト (SGLI) と比較することで精度を検証する。推定の期間を広げることで雲被覆の影響を減らすことなどを考えている。