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[ACG41-P03] 航空機による地球観測の最近の動向について
キーワード:航空機観測
地球環境の観測は、近年の急激な気候変動のメカニズムや長期モニタリングにおいてその重要性が増してきている。人工衛星による観測も衛星数およびセンサの種類の増加により研究や応用の広がりが増してきている。また、数値モデルにおいても全球モデルの高解像度化やデータ同化技術の発達により、観測と融合した開発・研究がなされてきている。そのような状況において、航空機観測の果たす役割も変わりつつある。即ち、人工衛星の観測において不足している情報や数値モデル計算における誤差の大きい領域やパラメータを補うような観測が航空機観測に求められているといえる。例えば、エアロゾルの空間分布の直接的な観測はリモートセンシングによるリトリーバル(物理量推定)を大いに助けるものである。同様なことは温室効果気体の観測においても言える。また、大雨災害をもたらす台風や線状降水帯などでは、特に、発達した降水雲の中での力学的・熱力学的な構造の直接的な観測不足していることが、それらの予測精度の改善を妨げているため、航空機からのドロップゾンデやレーダによる観測がそれらの不足を補うものとして期待されている。海氷や森林に向けると人工衛星の観測はそれらのバルクの量を得ることができるが、その分布(海氷のサイズ分布や樹木ごとの特徴)を得られないことが水・エネルギー循環や炭素循環の精緻化を妨げている。このように、航空機観測に対しては新たなニーズが生まれてきている一方で、従来からある即応性や(衛星)リモートセンシング機器の検証・校正といった役割の重要性も変わらず存在している。前者においては、防災・減災の観点において重要な役割を果たすことは明確である。また、後者においても、小型衛星が急激に増加している現状からそれらのプロダクトの精度を担保するニーズが高まっている。
このような状況において、わが国では地球観測専用の航空機がない現状を打破するために日本気象学会・日本大気化学会・日本航空宇宙学会が中心となって航空機観測を推進するための提案を日本学術会議のマスタープランに行っており、航空機観測の推進の機運が高まっている。米国においては、これまでもNASAやNCARを中心に活発に航空機観測が行われてきたが、2018年の米国科学アカデミーズによるDecadal surveyを受けて、米国内でも大型航空機による観測の将来像が描かれている。また、欧州においても各国が連携してEuropean Facility for Airborne Research (EUFAR)を結成して航空機観測の推進を図っている。
このような状況において、わが国では地球観測専用の航空機がない現状を打破するために日本気象学会・日本大気化学会・日本航空宇宙学会が中心となって航空機観測を推進するための提案を日本学術会議のマスタープランに行っており、航空機観測の推進の機運が高まっている。米国においては、これまでもNASAやNCARを中心に活発に航空機観測が行われてきたが、2018年の米国科学アカデミーズによるDecadal surveyを受けて、米国内でも大型航空機による観測の将来像が描かれている。また、欧州においても各国が連携してEuropean Facility for Airborne Research (EUFAR)を結成して航空機観測の推進を図っている。