日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG43] 北極域の科学

2022年5月27日(金) 10:45 〜 12:15 106 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:Ono Jun(JAMSTEC Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology)、コンビーナ:両角 友喜(北海道大学 大学院農学研究院)、島田 利元(宇宙航空研究開発機構)、コンビーナ:堀 正岳(東京大学大気海洋研究所)、座長:小野 純(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、島田 利元(宇宙航空研究開発機構)

11:45 〜 12:00

[ACG43-11] 近年におけるグリーンランド氷床表面アルベドの変動

*青木 輝夫1,2島田 利元3堀 雅裕4、谷川 朋範5庭野 匡思5 (1.国立極地研究所、2.総合研究大学院大学、3.宇宙航空研究開発機構 地球観測研究センター、4.富山大学 都市デザイン学部、5.気象庁 気象研究所)

キーワード:アルベド、MODIS、グリーンランド氷床、暗色化

衛星データから求められたグリーンランド氷床表面アルベドは2000年から2012年まで減少傾向を示し、氷床表面の暗色化(surface darkening)と呼ばれた。しかし、その後、年々変動が大きくなり、2013年以降は急激な暗色化が一見弱まったようにも見える。本研究では、Moderate Resolution Imaging Spectroradiometer (MODIS)データから積雪域と裸氷域を分類し、MODIS アルベドプロダクトを用いてそれぞれの領域における4-9月の月毎及び1km毎の標高別のアルベド変動を調べた。その結果、2000年-2012年の夏季の氷床全体で平均した表面アルベドは統計的に有意な低下を示し、2013年-2020年では年々変動が大きくなった結果、全期間では有意性は失われている。標高別及び表面状態別に見ると、アルベド変化率(回帰直線の傾き)は積雪域、裸氷域共に、4-8月の1km以下の低標高域と7-8月の全標高域で負、9月の全標高域で正となった。ただし、標高1km以下の7月の裸氷域を除いて、いずれの領域・季節でも統計的には有意でない。9月のアルベド上昇は降雪量や頻度の増加を示唆している。また、標高1km以下の7月の裸氷域におけるアルベド低下はその領域に含まれる暗色裸氷域の拡大が原因と考えられる。一方、年々変動の幅は積雪域、裸氷域共に気温の高い低標高域ほど大きく、季節的には同様に気温の高い7-8月に大きくなった。