日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG44] 黒潮大蛇行

2022年6月3日(金) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (13) (Ch.13)

コンビーナ:西川 はつみ(東京大学 大気海洋研究所)、コンビーナ:平田 英隆(立正大学)、碓氷 典久(気象研究所)、コンビーナ:日下 彰(国立研究開発法人 水産研究・教育機構 水産資源研究所 )、座長:日下 彰(国立研究開発法人 水産研究・教育機構 水産資源研究所)、西川 はつみ(東京大学 大気海洋研究所)

11:00 〜 13:00

[ACG44-P03] 黒潮の流路変動に対する急激に発達する温帯低気圧に伴う前線構造の応答

*平田 英隆1、川村 隆一2野中 正見3 (1.立正大学、2.九州大学、3.海洋研究開発機構)

キーワード:黒潮、温帯低気圧、前線構造

黒潮の流路変動が急速に発達する温帯低気圧(爆弾低気圧)の前線構造へ与える影響について調査するために、領域雲解像モデルを用いて海面水温偏差に対する感度実験を実施した。本研究では、2017年1月に日本南岸で発達した低気圧に注目して、黒潮直進流路に伴う暖水偏差と黒潮大蛇行流路に伴う冷水偏差に対する低気圧の応答を調査した。数値実験から得られた結果は、海面水温偏差が、低気圧の発達前の地表付近の大気の熱的構造に影響を及ぼすことを示した。直進実験では、黒潮直進流路に沿って、東西方向に水平温位勾配が強化される。一方で、大蛇行実験では、黒潮蛇行流路に沿って、温位勾配の蛇行した構造が明瞭となった。2つの実験の間には、低気圧が日本南岸を通過する際の前線構造にも違いが見られた。大蛇行実験と比較して直進実験では、温暖前線北側の四国沖で発達する前線が強化された。他方で、直進実験と比較して大蛇行実験では、大蛇行域に接近する際に温暖前線が強まった。これらの前線構造の違いは、低気圧発達前の大気の熱的構造の違いに起因していると考えられる。さらに、大蛇行実験と比べて直進実験では、四国沖の前線性の降水がより強まった。直進実験において強化された四国沖の前線が、この降水強化と関連していると思われる。これらの結果は、黒潮の流路変動が低気圧の前線構造やそれに伴う降水へ影響することを示唆する。