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[ACG45-12] 黄河主流における衛星観測を用いた空間的に密な河川流量の推定
キーワード:リモートセンシング、衛星観測流量、水理幾何学、水資源モニタリング
人間による地表水利用の63%が河川から供給されているため,安定した水利用のためには河川流量の変化を把握することが重要であり,特に河川のどの地点で水が流出入しているのかを特定することができれば,効率的な水資源の利用に役立てることができる.しかしながら,河川流量の現地観測所は点在・偏在しているため、現地観測では河道に沿って連続的に流量変化を捉えることは難しい.近年,リモートセンシング技術の発展とMass-conserved Flow Law Inversion(McFLI)アルゴリズムの開発により,衛星画像のみから河川流量を推定することが可能となった.数々の先行研究でその有用性は検証されているが,河道に沿った連続的な流量の変化をどれほど把握することができるのかは未だ検証されていない.そこで本研究では,灌漑が盛んに行われ水資源管理の問題に直面している黄河を対象にMcFLIアルゴリズムの適用可能性を検討した上で,河道に沿ってより空間的に密な流量の推定を試みた.両岸に堤防や放水路が存在しない黄河主流の16の流量観測所において,観測流量と衛星画像から得られた河道幅を用いて対数線形回帰分析を行ったところ,上流域の9の観測所と中流域の7の観測所でそれぞれAt-many-stations hydraulic geometry (AMHG)の存在が確認され,McFLIアルゴリズムの適用可能性が示された.これをもとに,観測所間の流量に大きな増減が見られた中流域の2つの河川区間を対象に,McFLIアルゴリズムの一種であるBAMアルゴリズムを用いて河川流量の推定を行った.それぞれ101地点・140地点で流量を計算し,観測流量との誤差は見受けられるものの支川との合流地点で流量が増加し,付近に灌漑地域が存在する地点で流量が減少するという河道に沿った流量変化を確認することができた.本研究のアプローチは現地観測所が存在しない地域にも応用が可能であり,全球スケールでの流量のモニタリングに役立てられることが期待される.