11:00 〜 13:00
[ACG45-P02] 全球河川水動態シミュレーションは超高解像度で実施する価値があるか?
キーワード:全球河川モデル、超高解像度、デジタル地球
全球河川水動態モデルは、地球システムモデルにおける河川サブモデルや洪広域水リスク評価ツールとして幅広く使われている。近年、地球システムモデリング分野では、WCRPのLight House Activity “Digital Earths”や、European CommissionのDestiny Earthプロジェクトで、超高解像度(kmスケール)で地球環境予測に関わる各物理プロセスを表現しようという試みが進んでいる。この流れを受けて、全球河川水動態モデルCaMa-Floodも、MPIとOpenMPのハイブリッド並列によって全球1arcmin解像度(約1km)でのシミュレーションが実施できるようになった。ただし、超高解像度シミュレーションはモデル能力のベンチマークやボトルネックの検出と改善には有用であるが、非常に高い計算コストが求められるという問題がある。炭素循環などを考慮した複雑な地球システムモデリングや、大規模気候アンサンブルデータを用いた洪水リスク評価などは、中〜高解像度(20-5km程度)で実施することが望ましい。CaMa-Floodは洪水氾濫をサブグリッド物理として扱うため、中〜高解像度でも超高解像度シミュレーションと同様の結果を得られる可能性がある。そこで本研究では、実現した超高解像度(全球1arcmin)の河川水動態シミュレーションの結果を、中〜高解像度シミュレーション(全球15 ~ 3arcmin)の結果と比較することで、超高解像度のメリットを明らかにするとともに、中解像度〜高解像度シミュレーションがどこまで許容可能なのかを議論する。