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[ACG46-P03] 渦相関法による寒冷域での大気との二酸化炭素フラックス測定における除湿率とCO2フラックスシグナル減衰の関係について
海氷域などの寒冷域においては、大気との二酸化炭素(CO2)交換(フラックス)が陸域に対して微量であることより、渦相関法では正確な計測が困難となっている。その原因として、センサー自身が熱源となることや、水蒸気の混在による測定精度の低下などが挙げられる。本研究では、クローズ型のガス分析計を用い、3つの除湿方法(ドライアライト、過塩素酸マグネシウム、メンブレンドライヤー)について除湿の能力と持続性と、除湿の程度がCO2フラックスの計測に与える影響を評価した。ドライアライト、過塩素酸マグネシウムは短期的に高い除湿率となるが急速に除湿能力が低下するのに対し、メンブレンドライヤーは比較的良い除湿効率を保ち、優れた安定性が維持されることがわかった。CO2混合比の標準偏差の低下率は、除湿率が大きいほど高くなることがわかった。周波数解析により、除湿によって高周波数帯の乱流変動によるCO2フラックスのシグナルの減衰が見られたものの、その減衰の程度は、除湿をしない機器によるものと1%しか違わなかった。一方で密度補正式を利用した影響分解から、潜熱フラックスに起因するCO2フラックスの誤差は、除湿による高周波シグナルの損失よりも大きかった。以上より、メンブレンドライヤーを用いて適度に除湿した、渦相関法の有用性が確認された。