14:00 〜 14:15
[AHW24-14] 狩野川源流から河口域の流況と生態系をつなぐ地表水―地下水交換フラックスの数値的検討
キーワード:狩野川放水路、Hyporheic Zone、生態系、シミュレーション、HydroGeoSphere
流況と生態系の関係性を解き明かすには、局所から広域、短期から長期の広範囲の時間・空間スケールを対象に、地形、地表水、地下水、堆積物、生物地化学等の相互作用が生じる地表水・地下水境界領域(Hyporheic Zone, HZ)を一体化して理解することが求められる。
本研究では、放水路によって人為的に流量コントロールが行われる狩野川を対象に源流から河口域の流況データ(生態系応答に対するインプットデータ)を評価可能な統合型流域モデリングを適用した。具体的には、狩野川放水路が与える出水時の流況変化、推定される生態系応答との関係、平常時と出水時の違い等を検討するため、河道及び流域スケールの地表水・地下水交換フラックス(Hyporheic Exchange Flux, HEF)他に着目した3次元シミュレーションを行った。数値シミュレータにはHydroGeoSphere(HGS)を用いた。
河道スケールは、流量をコントロールする放水路とその周辺に着目して、河床・河岸の詳細な地形形状、水理地質構造を組み込んだ解析モデルを構築した。これを用い、平常時と出水時のHEFの時空間変化を解析し、狩野川放水路周辺の堤内外における湧出域・涵養域の空間分布と出水時の動的変化を可視化した。
また、源流域から河口域の狩野川全流域をカバーした流域スケールに対して、気象条件、地形、地質、土地・水利用データを搭載した統合型流域モデリングを行った。構築モデルの妥当性は、降水、蒸発散、地形、地質、土地・水利用等の流域構造に対して唯一にバランスする平衡状態を解析(スピンアップ)し、主要地点における平常時及び出水時の河川流量変化をほぼ適切に再現することで検証した。現状の解析結果によると、狩野川流域は上流、中流及び下流域で異なる特徴の集水域の重畳構造を呈することが示唆された。今後は河床周辺のHEFや滞留時間等に着目し、河道スケール解析モデルからの出力情報を用いたアップスケーリングとの関連付けを図っていく。
本研究は国土交通省の河川砂防技術研究開発公募において実施したものである。
本研究では、放水路によって人為的に流量コントロールが行われる狩野川を対象に源流から河口域の流況データ(生態系応答に対するインプットデータ)を評価可能な統合型流域モデリングを適用した。具体的には、狩野川放水路が与える出水時の流況変化、推定される生態系応答との関係、平常時と出水時の違い等を検討するため、河道及び流域スケールの地表水・地下水交換フラックス(Hyporheic Exchange Flux, HEF)他に着目した3次元シミュレーションを行った。数値シミュレータにはHydroGeoSphere(HGS)を用いた。
河道スケールは、流量をコントロールする放水路とその周辺に着目して、河床・河岸の詳細な地形形状、水理地質構造を組み込んだ解析モデルを構築した。これを用い、平常時と出水時のHEFの時空間変化を解析し、狩野川放水路周辺の堤内外における湧出域・涵養域の空間分布と出水時の動的変化を可視化した。
また、源流域から河口域の狩野川全流域をカバーした流域スケールに対して、気象条件、地形、地質、土地・水利用データを搭載した統合型流域モデリングを行った。構築モデルの妥当性は、降水、蒸発散、地形、地質、土地・水利用等の流域構造に対して唯一にバランスする平衡状態を解析(スピンアップ)し、主要地点における平常時及び出水時の河川流量変化をほぼ適切に再現することで検証した。現状の解析結果によると、狩野川流域は上流、中流及び下流域で異なる特徴の集水域の重畳構造を呈することが示唆された。今後は河床周辺のHEFや滞留時間等に着目し、河道スケール解析モデルからの出力情報を用いたアップスケーリングとの関連付けを図っていく。
本研究は国土交通省の河川砂防技術研究開発公募において実施したものである。