日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS18] 海洋化学・生物学

2022年5月30日(月) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (9) (Ch.09)

コンビーナ:三角 和弘(一般財団法人電力中央研究所 サステナブルシステム研究本部 )、コンビーナ:川合 美千代(東京海洋大学大学院海洋科学研究科)、座長:三角 和弘(一般財団法人電力中央研究所 サステナブルシステム研究本部)、川合 美千代(東京海洋大学大学院海洋科学研究科)

11:00 〜 13:00

[AOS18-P05] 低次生態系を含めた北太平洋域の海洋将来予測データセットの作成

*杉山 徹1、西川 史郎1、黒木 聖夫1、西川 遥1辻野 博之2坂本 圭2石川 洋一1 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構 付加価値情報創生部門 情報エンジニアリングプログラム、2.気象庁 気象研究所)

キーワード:NPZD生態系モデル、北太平洋領域、力学的ダウンスケール、海洋将来予測

海域における気候変動予測情報に関しては,CMIP5(第5次結合モデル相互比較プロジェクト)等の複数の気候モデルにおいて,水温・水位などの物理変数に関するデータが公開されている.これらは,全球モデルによる低解像度データのため,黒潮などの海流が重要となる日本近海域や沿岸域を見るためのニーズに応えるのは難しいという問題がある.また,日本近海域での気候変動適応問題に関して,物理変数に加えて栄養塩・プランクトンなどの生物地球化学変数に対する高いニーズも存在しており,その要求に応えられるデータセットの作成も望まれている.我々のグループでは,そうしたニーズに応える海域将来予測データセットの開発を,文部科学省気候変動適応技術社会実装プログラム(SI-CAT)(課題番号: JPMXD0715667163)および統合的気候モデル高度化研究プログラム領域テーマC「統合的気候変動予測」(JPMXD0717935561)において行ってきた.これまで,日本周辺海域の物理場をターゲットとして,CMIP5データを外力に用いた海洋モデルシミュレーション(力学的ダウンスケーリング)により,北太平洋海域をカバーする水平解像度約10 kmのデータセット(名前:FORP-NP10)と日本近海域をカバーする水平解像度約2 kmのデータセット(名前:FORP-JPN02)の2種類を作成してきた.これらは,DIAS(データ統合・解析システム)で公開した他,文部科学省・気象庁「日本の気候変動2020」でも活用された.最近,前者のデータセットFORP-NP10に関して,簡単な生物地球化学過程(NPZDベースの低次生態系)の導入を中心とした海洋モデルの改良によるデータセット改良版の作成を行い,日本周辺海域の物理場や栄養塩・植物プランクトン等の分布・季節変動などの再現・予測に関する検証を進めている.本発表では,そのデータセットの作成に関する詳細と初期解析結果を報告する.今回作成した改良版データセット(名前:FORP-NP10 version 4予定)もDIASから公開する予定である.(※上述の一連のデータセットは総称名としてFORP(領域海洋将来予測データセット)と名付けている.)