14:00 〜 14:15
[AOS22-02] 沿岸性珪藻が生産する珪藻殻の溶解速度の種間差とその影響因子
キーワード:珪藻殻、生物起源ケイ素、溶解性、浮遊珪藻、底生珪藻
珪藻は、珪酸質の被殻である珪藻殻を持つ。珪藻殻(生物起源珪素:BSi)の溶解性には、種による違いがあることが判明している。ただし、既往の研究において検討されているのは、浮遊珪藻数種のみである。また、溶解性の難易に関わる要因は多く、その実質的な支配要因は不明である。本研究では底生珪藻を含む14種の珪藻殻の溶解速度を実験的に調べ、種による溶解性の違いについて明らかにすると共に、溶解性の難易の支配要因について考察した。
珪藻各種について単一種の大量培養を行い、有機物を酸分解して除去したのちに、珪藻殻のみを回収した。各珪藻殻はろ過した天然海水に添加し、20℃、暗条件下で約30日間振とうさせた。添加直後から定期的に採水を行い、BSiの溶解に伴って変化する海水中の溶存珪酸(DSi)濃度を測定し、その経時変化を調べた。また、電子顕微鏡を用いて珪藻殻の形態の経時変化を観察した。
時間経過に伴う海水中の珪藻殻の残存割合の変化は、実験初期とそれ以降で様子が異なり、種によらず傾きの異なる2つの指数関数で近似的に表された。実験初期と後期の指数曲線の傾きを各々K₁、K₂とすると、いずれの種においてもK₁>K₂であり、実験初期における珪藻殻の溶解は速やかに進行していた。また、K₁はK₂と比較して種による差異が大きかった。さらに、二つの指数曲線の交点の値に基づき各珪藻の全珪藻殻に対する難分解性画分の割合を算出したところ、1.77-36.3%と違いがみられた。また、珪藻各種の生育環境の違いから、浮遊・底生に分け、マンホイットニーのU検定を行ったところ、K₁ではP=0.0303と浮遊珪藻、底生珪藻間における有意な差があることが分かった。しかし、K₂では有意な差が見られなかった。難分解性珪藻殻の割合を比較したところ、6種の底生珪藻の内、4種が15%以上の含有率であった。対して、浮遊珪藻5種では最大値が12.7%と底生珪藻よりも含有率が少なかった。
以上のことから、珪藻殻の溶解性の違いを生み出す要因には、K₁の違いと、難分解性画分の構成割合が関係していることが示唆された。また、K₁の違いと、難分解性画分の構成割合は底生珪藻と浮遊珪藻によって差があると推察された。さらに、顕微鏡観察により、同一種における各珪藻殻においても溶解性の殻の部位の違いが影響している可能性が考えられた。
珪藻各種について単一種の大量培養を行い、有機物を酸分解して除去したのちに、珪藻殻のみを回収した。各珪藻殻はろ過した天然海水に添加し、20℃、暗条件下で約30日間振とうさせた。添加直後から定期的に採水を行い、BSiの溶解に伴って変化する海水中の溶存珪酸(DSi)濃度を測定し、その経時変化を調べた。また、電子顕微鏡を用いて珪藻殻の形態の経時変化を観察した。
時間経過に伴う海水中の珪藻殻の残存割合の変化は、実験初期とそれ以降で様子が異なり、種によらず傾きの異なる2つの指数関数で近似的に表された。実験初期と後期の指数曲線の傾きを各々K₁、K₂とすると、いずれの種においてもK₁>K₂であり、実験初期における珪藻殻の溶解は速やかに進行していた。また、K₁はK₂と比較して種による差異が大きかった。さらに、二つの指数曲線の交点の値に基づき各珪藻の全珪藻殻に対する難分解性画分の割合を算出したところ、1.77-36.3%と違いがみられた。また、珪藻各種の生育環境の違いから、浮遊・底生に分け、マンホイットニーのU検定を行ったところ、K₁ではP=0.0303と浮遊珪藻、底生珪藻間における有意な差があることが分かった。しかし、K₂では有意な差が見られなかった。難分解性珪藻殻の割合を比較したところ、6種の底生珪藻の内、4種が15%以上の含有率であった。対して、浮遊珪藻5種では最大値が12.7%と底生珪藻よりも含有率が少なかった。
以上のことから、珪藻殻の溶解性の違いを生み出す要因には、K₁の違いと、難分解性画分の構成割合が関係していることが示唆された。また、K₁の違いと、難分解性画分の構成割合は底生珪藻と浮遊珪藻によって差があると推察された。さらに、顕微鏡観察により、同一種における各珪藻殻においても溶解性の殻の部位の違いが影響している可能性が考えられた。