日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-BG 地球生命科学・地圏生物圏相互作用

[B-BG01] 地球惑星科学 生命圏フロンティア

2022年5月24日(火) 15:30 〜 17:00 304 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:鈴木 志野(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)、コンビーナ:加藤 真悟(国立研究開発法人理化学研究所)、奥村 知世(高知大学海洋コア総合研究センター)、コンビーナ:高野 淑識(海洋研究開発機構)、座長:加藤 真悟(国立研究開発法人理化学研究所)、奥村 知世(高知大学海洋コア総合研究センター)、鈴木 志野(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)

16:30 〜 16:45

[BBG01-09] トウモロコシ花粉の落下速度に対する湿度の影響

*山田 佳怜1,2、 安本 有唯3,2、勝濵 直椰4,2堅田 凜平5,2、藤田 滋6,2橋本 朝陽7,2成瀬 延康8,2高橋 幸弘9,2 (1.東京都立白鷗高等学校、2.スーパーサイエンティストプログラムプラス、3.立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部、4.鹿児島大学農林水産学研究科、5.明治大学農学部、6.日本大学生物資源科学部獣医学科、7.筑波大学生命環境学群地球学類、8.滋賀医科大学医学部医学科、9.北海道大学大学院理学院)


キーワード:花粉の落下速度、相対湿度、ストークスの式、トウモロコシ

トウモロコシのように風媒花で他家受粉を主に行う植物の場合、花粉が空気中を落下する速度は花粉の飛散する距離、ひいては花粉の送粉可能な範囲に影響を及ぼす。植物の花粉の詳しい飛散挙動については、これまで花粉の落下速度が風洞実験などにより調べられてきた。さらに、花粉は吸湿によってサイズや重量が変わるため、落下速度を考える上で、湿度の影響を見積もることは必須と考えられる。しかしながら、先行研究では風速や気温を考慮したものはあっても、湿度が花粉の落下速度に与える影響をはっきりと議論したものはない。

本研究では、花粉の落下速度の湿度依存性を調査し、飛散挙動に与える影響を明らかにすることを目的とする。異なる湿度下に置かれた花粉の落下速度を測定するとともに、落下速度に影響を与える可能性のある、相対湿度による花粉の形状・質量の変化についても調査する。

実験では、異なる湿度環境下に一定時間置いたトウモロコシ花粉を落下させ、その様子をデジタル一眼カメラで動画撮影した(0.05秒/1コマ)。画像処理ソフトを用い、花粉の落下速度と粒径を算出することで、湿度の違いが落下速度にもたらす影響を調査した。

また、予備実験として、平均的な粒径がトウモロコシ花粉の約1.5倍である薄力粉を用い、薄力粉の落下速度の計測によって花粉の落下速度の計測手法の有効性を検証した。薄力粉の軌跡を落下地点から70cm離れたところに固定されたミラーレス一眼カメラで撮影し、画像処理ソフトを用いて軌跡の長さと太さから、落下速度と粒径を求めた。また、終端速度を求めるストークスの式から薄力粉の密度を変数とした落下速度と粒径のグラフを作成した。実験から得られた落下速度・粒径のデータがストークスの式から得られた終端速度グラフと一致することから、実験データの信頼性および実験手法の有効性が示された。
この計測手法を用いて、鹿児島大学農場のキャンベラ90EX(タキイ種苗)から採取したトウモロコシ花粉を利用し、落下速度の湿度依存性を調査したものを報告する。