日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-CG 地球生命科学複合領域・一般

[B-CG05] 地球史解読:冥王代から現代まで

2022年5月30日(月) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (30) (Ch.30)

コンビーナ:小宮 剛(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)、コンビーナ:加藤 泰浩(東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻)、鈴木 勝彦(国立研究開発法人海洋研究開発機構・海底資源センター)、コンビーナ:中村 謙太郎(東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻)、座長:小宮 剛(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)

11:00 〜 13:00

[BCG05-P04] コロンビア, ゴルゴナ島に産する顕生代コマチアイトのマグマ源:オスミウム同位体不均質性からの考察

*井原 悠太1石川 晃1清水 健二2横山 哲也1 (1.東京工業大学、2.海洋研究開発機構 高知コア研究所)

キーワード:コマチアイト、巨大火成岩岩石区、Os同位体、マントルプルーム

コロンビアのゴルゴナ島には形成年代が一番若い(~90Ma)新鮮なコマチアイトが産出し、カリブ-コロンビア海台のマグマ活動に伴い形成されたと考えられている[1]。太古代や原生代の緑色岩帯に産出する大半のコマチアイトは、数億年間の大陸の変動や変質によって他の火成岩との関係性が不明瞭になっている場合が多く、造構場やマグマ生成条件の推定が難しい側面がある。ゴルゴナ島のコマチアイトは形成場が明らかな点や、変質が少ない点において、コマチアイトを生成したマグマ活動の本質を知る上での模式地といえる。カリブ-コロンビア海台はマントル深部から上昇したプルームの溶融によって形成されたと考えられている。コマチアイトの187Os/188Os比は、0.1286-0.1509の幅広い変動幅をもち、他種の同位体比でも見られている不均質性から、複数のマグマ源が推定されている[1, 2]。ゴルゴナ島のコマチアイト溶岩流は、島の大半を構成する玄武岩溶岩流に挟在しており、その他ピクライトや集積岩(斑れい岩、かんらん石斑れい岩、ウェールライト、ダナイト) から成る岩体も随伴している。本研究では、これらの広範な火成岩についてOs同位体比測定をおこない、海台の形成に関連するマグマ源の不均質性について再検討をおこなった。全岩相が形成する主要元素組成のトレンドは本源マグマの結晶分化に伴う組成変動として調和的だが、TiO2 およびOs の濃度変動に着目した場合 (1)コマチアイトや集積岩、玄武岩を形成するマグマ (2) TiO2やOsが (1)と比べて枯渇している、ピクライトを形成したマグマの2種類の活動があったことが判明した。一方187Os/188Os比の変動は、コマチアイトが0.1285 - 0.1314、ピクライトが 0.1276 - 0.1317、集積岩が0.1270–0.1366と先行研究[2]の報告とほぼ一致しており、上記2種類のマグマの違いは不明瞭であった。今後、187Os/188Os初生比やその他微量元素濃度を詳細に比べることにより、2種類のマグマの関係性がより明瞭となることが期待される。



[1] Kerr, A.C. (2005) Lithos 84, 77-101. [2] Walker et al. (1999) Geochimica et Cosmochimica Acta 63,713-728.