日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-GM 地下圏微生物学

[B-GM02] 岩石生命相互作用とその応用

2022年5月23日(月) 13:45 〜 15:15 304 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:鈴木 庸平(東京大学大学院理学系研究科)、コンビーナ:須田 好(産業技術総合研究所)、白石 史人(広島大学 大学院先進理工系科学研究科 地球惑星システム学プログラム)、コンビーナ:福士 圭介(金沢大学環日本海域環境研究センター)、座長:鈴木 庸平(東京大学大学院理学系研究科)、須田 好(産業技術総合研究所)

13:45 〜 14:00

[BGM02-01] ガスハイドレートに伴って産出するマイクロドロマイトの特徴

*白石 史人1、秋元 貴幸1富岡 尚敬2高橋 嘉夫3松本 良4Snyder Glen3 (1.広島大学、2.海洋研究開発機構、3.東京大学、4.明治大学)

ドロマイトは過去の炭酸塩岩中に普通に認められ,その多くは続成時におけるCaCO3鉱物の交代作用によって形成されたと考えられている.硫酸還元などの微生物代謝に起因するドロマイト形成過程も,ブラジル・ラゴアベルメーリャなどの研究から提唱されているが,これもCaCO3鉱物の交代を伴う.しかしながら近年,上越海盆のガスハイドレート中から直径約30–150 µmのマイクロドロマイトが発見された.これは,油を代謝する微生物が分泌する細胞外高分子(EPS)周辺に晶出した初生ドロマイトであると考えられている.そこで本研究は,このマイクロドロマイトの特徴をさらに明らかにすることで,詳細な形成過程の解明を目指した.
まずガスハイドレートから分離したマイクロドロマイトを樹脂包埋し,薄片を作成した.薄片の観察から,マイクロドロマイトには大きく2つのタイプが認識された:多角形で中心に小さな黒色部を持つタイプA,および比較的滑らかな球形で内部に同心円状の層構造を持つタイプB.これら2つのタイプを含む薄片から集束イオンビーム加工(FIB)によって薄膜試料を作成し,走査型透過X線顕微鏡(STXM)および透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した.タイプAでは,中心の黒色部内壁に幅約100 nmのらせん状に巻いたフィラメント構造が見られ,その周囲には非晶質炭酸カルシウム(ACC)が分布,それらがさらに単結晶ドロマイトに包有されていた.一方,タイプBは主に約2 µm以下のドロマイト菱面体結晶からなり,それらが散在する層と密集する層の繰り返しから構成されていた.本発表では,これら2つのタイプの成因について考察する.本研究で使用した試料/データは,経済産業省のメタンハイドレート開発促進事業の一環として産業技術総合研究所からの再委託(2013~2015年度)で実施された研究で取得されたものである.