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[BPT03-01] 炭酸脱水素酵素およびプロトンポンプ阻害剤による有孔虫の石灰化プロセスへの影響
キーワード:有孔虫、石灰化、飼育実験
石灰質有孔虫は、地球化学的な古環境分析に欠かせない微化石である。さらに有孔虫は海洋環境において炭酸カルシウムの重要な生産者でもあり、海洋における地球規模の炭素・カルシウムサイクルに貢献している。近年人為的な二酸化炭素の増加に伴い、海洋による二酸化炭素の取り込みは増加し続け海洋が酸性化してきている。海洋酸性化が卓越下環境では、炭酸塩系の平衡が石灰化に不利になることが予想される。海洋酸性化の影響を評価するために、様々な石灰化生物について、フィールドや培養実験を通して数多くの観察が行われている。海洋酸性化の影響は種類によって異なることが予想される。石灰質有孔虫においても、海洋酸性化は石灰化プロセスと、炭酸カルシウムの「鉱物学」や「結晶学」の両方に影響を与えうるが、有孔虫の石灰化プロセスを理解しようとしている筆者らは、生物学的プロセスの重要性を強調したい。有孔虫の海洋酸性化への応答は、種や結晶構造(hyalineとmiliolidなど)、共生物の有無などによって異なる。さらに、殻の化学組成と石灰化のプロセスの両方が生理的に大きく影響を受けるはずである。ここで有孔虫の生理的活動は他の生物と同じく酵素が担っている。特に、どの酵素が石灰化を促進するのか、どのような役割を担うのか、その機能が阻害されるのかについては、まだ十分な理解が得られていない。本研究では、酵素阻害剤を添加した実験室実験と殻形成の観察により、目的の酵素が石灰化に関与していることを確認することを目的する。これまでの研究で殻形成への関与が強く示唆されている炭酸脱水酵素とプロトンポンプの阻害剤として、それぞれアセトザラミドとバフィロマイシンを添加した結果を紹介する。