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[G05-P18] 令和4年1月22日の日向灘の地震(M6.6)によるおおいた豊後大野ジオパーク内の被害と地形
キーワード:おおいた豊後大野ジオパーク、日向灘、地震、被害、地形
令和4(2022)年1月22日午前1時8分頃、日向灘を震源とするマグニチュード6.6(暫定値)の地震が発生し、大分県および宮崎県北部で最大震度5強の揺れが観測された。気象庁によれば、震源の深さは45km(暫定値)で、発震機構は西北西-東南東方向に張力軸を持つ正断層型であったとされている。震央から約50~80km離れたおおいた豊後大野ジオパーク内の各観測点での震度はいずれも震度4であったが、より震央から遠い大分市、竹田市の荻町および直入町、宮崎県高千穂町において震度5強の揺れが、熊本県阿蘇市や高森町において震度5弱の揺れが観測され,大分市の沿岸部では液状化による被害が確認されたほか、竹田市では岡城の石垣が破損するなどの被害が確認された。気象庁による推計震度分布を見ると、震度5弱以上の範囲が豊後大野市の周りを取り囲むように分布しているようにも見える。
この地震では、おおいた豊後大野ジオパークの各サイトについては目立った被害は確認されなかったが、エリア内では民家の屋根瓦の損傷や壁面のひび割れなどの被害が発生した。また、三重町赤嶺の道ノ上古墳で墳丘頂部に置かれた石造五輪塔および石灯籠が転倒するなど、墓石等石造物の転倒や破損も散見された。
被害の分布を見ると、ジオパークエリア内のうち、震央により近くかつ人口の多い犬飼町や三重町など、エリアの東部で比較的多くの被害が見られるが、その中でもところどころに被害が集中する地域が見うけられる。このような地域の地形的な共通点としては、多くの場合が台地の縁辺部であるということが挙げられる。おおいた豊後大野ジオパークでは、約9万年前の阿蘇4火砕流の堆積面が開析された台地が広い範囲を占めているが、被害を受けた地域の多くがこのような台地の縁辺部の緩傾斜した台地面上、ないしは台地縁辺の崖の直上にあたっている。台地は阿蘇4火砕流堆積物で構成されているが、少なくとも上部の数メートルは軽石を多く含む非溶結ないし弱溶結の比較的脆弱な堆積物であり、台地縁辺の崖の上部という地形効果と相まって、地震動の増幅による被害の集中が見られた可能性が指摘できる。なお、前述した道ノ上古墳も台地の先端の崖上の立地しており、そこにさらに高さ6mの墳丘が築かれたことで、より地形効果が高まった可能性がある。
今回の地震では、ジオパークエリア内の観測点の震度がいずれも震度4であったにもかかわらず、局所的とは言え、実質的には震度5弱ないし震度5強に相当する被害が発生したということで、今後さらに詳細な検討を加え、地域防災に反映させていく必要があると思われる。
この地震では、おおいた豊後大野ジオパークの各サイトについては目立った被害は確認されなかったが、エリア内では民家の屋根瓦の損傷や壁面のひび割れなどの被害が発生した。また、三重町赤嶺の道ノ上古墳で墳丘頂部に置かれた石造五輪塔および石灯籠が転倒するなど、墓石等石造物の転倒や破損も散見された。
被害の分布を見ると、ジオパークエリア内のうち、震央により近くかつ人口の多い犬飼町や三重町など、エリアの東部で比較的多くの被害が見られるが、その中でもところどころに被害が集中する地域が見うけられる。このような地域の地形的な共通点としては、多くの場合が台地の縁辺部であるということが挙げられる。おおいた豊後大野ジオパークでは、約9万年前の阿蘇4火砕流の堆積面が開析された台地が広い範囲を占めているが、被害を受けた地域の多くがこのような台地の縁辺部の緩傾斜した台地面上、ないしは台地縁辺の崖の直上にあたっている。台地は阿蘇4火砕流堆積物で構成されているが、少なくとも上部の数メートルは軽石を多く含む非溶結ないし弱溶結の比較的脆弱な堆積物であり、台地縁辺の崖の上部という地形効果と相まって、地震動の増幅による被害の集中が見られた可能性が指摘できる。なお、前述した道ノ上古墳も台地の先端の崖上の立地しており、そこにさらに高さ6mの墳丘が築かれたことで、より地形効果が高まった可能性がある。
今回の地震では、ジオパークエリア内の観測点の震度がいずれも震度4であったにもかかわらず、局所的とは言え、実質的には震度5弱ないし震度5強に相当する被害が発生したということで、今後さらに詳細な検討を加え、地域防災に反映させていく必要があると思われる。