日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG24] 原子力と地球惑星科学

2022年5月31日(火) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (15) (Ch.15)

コンビーナ:竹内 真司(日本大学文理学部地球科学科)、コンビーナ:長谷川 琢磨(一般財団法人 電力中央研究所 )、笹尾 英嗣(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 東濃地科学センター)、座長:竹内 真司(日本大学文理学部地球科学科)

11:00 〜 13:00

[HCG24-P06] 蛍光染料溶液の濃度低下に寄与する微生物群集の評価:酸素、温度条件への依存性

*杉山 歩1、中田 弘太郎1、長谷川 琢磨1 (1.一般財団法人 電力中央研究所)

キーワード:蛍光染料、ウラニン、地下水トレーサー、微生物群集

蛍光染料は、大深度地下を対象としたボーリング調査やボーリング孔を利用した物質移行試験において非吸着性の保存性トレーサーとして広く利用されている。しかしながら、近年、蛍光染料溶液の濃度が保存中に低下する現象が確認されている。国内の事例では、幌延地域の地下水を用いて調製した蛍光染料ウラニン溶液は保存中に溶液の色が変色し、濃度が著しく低下する現象が確認されている(中田ほか、2017)。このことは蛍光染料溶液をトレーサーとして用いるうえで掘削水の影響やトレーサーの回収率の過小評価につながるため、濃度低下のメカニズムを明らかにし、有効な対策を講じる必要がある。これまでの研究から、蛍光染料溶液の濃度低下は幌延地域の地下水に限った現象ではないこと、原位置地下水に含まれる微生物が濃度低下に影響していることが明らかになった(杉山ほか、2021)。ただし、そのメカニズムの解明には未だ至っていない。メカニズムの解明にはどのような種類の微生物によって、どのような反応により蛍光染料溶液の濃度低下が生じているのか明らかにする必要がある。そこで、本研究では蛍光染料溶液の濃度低下に寄与する微生物群集を評価することを目的に、蛍光染料溶液の濃度低下が促進される条件の評価と対象とした地下水中の微生物群集の解析を行った。本実験では、幌延地域から採取した地下水と接触させたとき濃度の低下が最も顕著であったウラニン溶液を試験に使用する蛍光染料として選定した。ウラニン溶液の酸素濃度や温度等を変えて、地下水とウラニンを接触させ、濃度低下が顕著になる条件を抽出した。加えて、ウラニン溶液の濃度低下の前後で地下水中の微生物群集の解析を行い、ウラニン溶液の濃度低下に寄与しうる微生物の評価を行った。
 本研究は経済産業省から受託事業「令和3年度 高レベル放射性廃棄物処分等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(岩盤中地下水流動評価技術高度化開発)」において実施したものである。