日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG26] 気候変動への適応とその社会実装

2022年5月24日(火) 13:45 〜 15:15 301A (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:山野 博哉(国立環境研究所)、コンビーナ:石川 洋一(海洋研究開発機構)、大楽 浩司(筑波大学)、コンビーナ:田村 誠(茨城大学地球・地域環境共創機構)、座長:山野 博哉(国立環境研究所)、石川 洋一(海洋研究開発機構)、大楽 浩司(筑波大学)、田村 誠(茨城大学地球・地域環境共創機構)

14:30 〜 14:45

[HCG26-04] 気候変動が畑作農業に与える影響-北海道十勝平野を例に-

*木村 圭司1 (1.奈良大学文学部地理学科)

キーワード:十勝平野、気候変動、畑作農業

十勝平野(北海道)は日本最大といわれる畑作地が広がっており、畑地の面積は日本の畑地の約12%である254,800ha(2015年)を占めている。十勝平野では輪作が行われており、夏の冷涼な気候に適した小麦、じゃがいも、豆類、てんさいと飼料作物で作付面積の約86%を占めている。小豆、てんさい、じゃがいも、小麦の日本全国に対する生産量の割合はそれぞれ順に64%、44%、33%、31%(すべて2015年)となっている。
さて近年では、十勝平野でも気候変動の影響を受け、極端な気象がみられるようになっている。特に2016年8月は連続する4つの台風の影響を受け、道東では降水量が非常に多かった。例えば十勝平野の中心都市である帯広では、8月の降水量の平年値(1991~2020年)が141.3mmであるのに対して、2016年8月は378.0mmであり、1892年の観測開始以来の8月の降水量をみると+3.4σという異常値であった。その結果、収穫時期であった根菜類(じゃがいも、てんさい等)は大きな影響を受けて収穫量が激減し、ポテトチップスが生産休止となり、日本人の食文化にも影響を与えた。その後、企業はリスクヘッジとして、じゃがいもの栽培地域の分散化という方策をすすめはじめた。
現在では、石崎(2021)などにより小エリアにおける気候変動予測が行われており、1kmメッシュ、日単位の気温・降水量などのシミュレーション結果の利用が可能となっている。こうしたデータを使用し、将来の十勝平野での農業に対する影響について、検討を進めている。

(文献・データ)
石崎 紀子, 2021: CMIP6をベースにしたCDFDM手法による日本域バイアス補正気候シナリオデータ, Ver.1, 国立環境研究所, doi:10.17595/20210501.001. (参照: 2022/02/17)