日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG26] 気候変動への適応とその社会実装

2022年5月24日(火) 13:45 〜 15:15 301A (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:山野 博哉(国立環境研究所)、コンビーナ:石川 洋一(海洋研究開発機構)、大楽 浩司(筑波大学)、コンビーナ:田村 誠(茨城大学地球・地域環境共創機構)、座長:山野 博哉(国立環境研究所)、石川 洋一(海洋研究開発機構)、大楽 浩司(筑波大学)、田村 誠(茨城大学地球・地域環境共創機構)

15:00 〜 15:15

[HCG26-06] 高解像度擬似温暖化実験による横浜市の夏季気候予測

*杉山 徹1、松田 景吾1、石田 麻衣子2、狭間 優哉2、小田切 幸次2、佐藤 玲子2 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構 付加価値情報創生部門、2.横浜市 環境科学研究所)

キーワード:擬似温暖化実験、力学的ダウンスケール

気候変動の影響が深刻化する近年,緩和策だけではなく適応策も 推進することが求められており,対策の検討には地域の特性に根差した細やかな視点が必要である.そこで我々は,横浜市を対象地域として,高解像度による夏季気候の将来予測を行った.
横浜市の夏季の気温は,相模湾や東京湾から吹く海風の入り方の違いや起伏に富んだ地形形状の影響等により,地域ごとに特徴がみられる.これら特徴が将来気候ではどのような変化を示すかを数値シミュレーションにより検討した.
用いた手法は,MSSGモデル(Multi-Scale Simulator for the Geoenvironment[1])を用いた擬似温暖化実験である.多段階の力学的ダウンスケールを行うことで 320 m解像度における領域気候計算を実施した.
将来気候は,SI-CATプロジェクトにより作成されたDDS5TK(産業革命時から全球2℃・4℃上昇時に対する5km解像度の将来予測データベース[2])を使用した.
対象とした現在気候は,2010年から2019年までの10年分の各年の8月とした.特に夏季の暑さが将来気候ではどの程度厳しくなるかを考察するために,無降水日(日降水量1.0mm未満)を抽出し解析対象とした.その結果,以下の特徴が得られた.
(1)沿岸部の気温に関しては,海風の影響で内陸よりも涼しかった現在気候に比べ,将来気候時はその恩恵 (影響)が弱くなる. これは,高温化した海水面温度により,海風気温が上がるためである.
(2)起伏の底部の気温が高部よりも高い傾向は,将来気候時も同じである.

REFERENCES
[1] Takahashi, K. et al., Challenge toward the prediction of typhoon behavior and down pour. J.
Phys. Conf. Ser. (2013) 454: 012072.
[2] Sasai, T. et al., Future Projection of Extreme Heavy Snowfall Events With a 5-km Large
Ensemble Regional Climate Simulation. J. Geophys. Res. (2019) 124: 13,975-13,9900.