11:00 〜 13:00
[HCG27-P02] 災害対策および感染症対策における位置情報の利活用
キーワード:位置情報、災害対策、感染症対策
全地球測位システム(global positioning system: GPS)を搭載したスマートフォンやタブレットPCなどの携帯情報端末の普及などによって、位置情報はただ単にナビゲーションで利用されるだけではなく、位置情報に関連付けられた多様な情報を得る手段としても利活用されるようになった。例えば、通勤経路の交通状況の予測、周辺施設の検索、狭い地域内での詳細情報の取得があげられる。この背景には、情報通信技術が世界の多くの国・地域で発達してクラウド・コンピューティング社会が実現されたため、「いつでも」「どこでも」「だれでも」何らかの情報システムを利用して、大容量の多様な情報を容易に取得できる環境が整備されていることがある。このことに合わせて、従来は携帯情報端末を中心に利用されてきた位置情報がPCでも利用されるようになった。これは、利用者のPCに割り当てられたIPアドレスから現在位置を推定できる技術が進化したことが原因である。
一方,近年では世界各地で、地震災害、火山噴火だけではなく、台風や局所的豪雨,旱魃などの気象災害の発災頻度も増え、自然災害対策が最重要課題になっている。さらに新型コロナウィルス(COVID-19)の感染が世界規模で拡大し、2021年5月1日現在で累計感染者数が1億5千万人を超えていた。わが国でも、地域的な差異はあるものの、感染者数は高止まりをしており、長期的な対応が必要な大災害のレベルにまで達している。
以上で述べたように、位置情報は利活用の範囲が拡大しており、今後さらに多様な用途で利活用されることが期待されている。災害対策でも利活用が進み,発災前から復旧・復興まで広い用途で用いられている。また感染症対策でも,位置情報は多面的に利活用されている。このように多様な用途での利用が期待できる位置情報であるが、利用において社会全体で留意すべき課題も多く残されている。本稿では、災害対策,感染症対策における位置情報を対象とし、利活用について整理したうえで、課題について述べることを目的とする。
本稿では、災害対策,感染症対策における位置情報を対象とし、利活用について整理したうえで、課題について述べた。まず災害対策における位置情報の利活用について、災害ビッグデータとしての位置情報の利活用、位置情報を用いた救護・救援活動、行政によるソーシャルメディアの投稿情報の利活用について紹介した。次に災害対策におけるソーシャルメディアの位置情報の利活用について、著者らの研究室が開発したソーシャルメディアマッピングによる情報の集約化、位置情報付きのTwitterの投稿情報を紹介した。さらに感染症対策における位置情報の利活用について、国レベルと企業等での位置情報の利活用について紹介した。最後に災害対策と感染症対策における位置情報の利活用と課題について、災害対策と感染症対策を比較したうえで、個人の位置情報のマネジメント、情報環境の変化の2点から課題について述べた。
災害対策において位置情報は東日本大震災を契機として積極的に利活用されるようになり、こうした点ではデジタル地図上に様々な情報を集約化可能なWeb-GISが大きな役割を果たしていた。さらにクラウド・コンピューティング社会の進化とともに、世界の多くの国・地域でソーシャルメディアが普及したことにより、位置情報付きのソーシャルメディア上の投稿情報がWeb-GISのデジタル地図上に集約化されるなど、位置情報の効率的な利活用が進みつつあることが明らかになった。
近年世界規模でCOVID-19の感染が拡大すると、位置情報が感染症対策としても利活用されるようになり、デジタル感染追跡が急速に拡大した。ただし、各国で位置情報の利活用には差異が見られ、固有の歴史的背景を基盤とし、社会的、経済的な状況が反映されている。この点については、各国においてデジタル監視とならないように、将来的な規制の議論が始まることが望まれる。
本稿の冒頭部分でも述べたように、位置情報は利活用の範囲が拡大しており、今後さらに多様な用途で利活用されることが期待されている。このように多様な用途での利用が期待できる位置情報であるが、この利用において課題が多く残されているため、こうした点に配慮して利活用することが必要である。
一方,近年では世界各地で、地震災害、火山噴火だけではなく、台風や局所的豪雨,旱魃などの気象災害の発災頻度も増え、自然災害対策が最重要課題になっている。さらに新型コロナウィルス(COVID-19)の感染が世界規模で拡大し、2021年5月1日現在で累計感染者数が1億5千万人を超えていた。わが国でも、地域的な差異はあるものの、感染者数は高止まりをしており、長期的な対応が必要な大災害のレベルにまで達している。
以上で述べたように、位置情報は利活用の範囲が拡大しており、今後さらに多様な用途で利活用されることが期待されている。災害対策でも利活用が進み,発災前から復旧・復興まで広い用途で用いられている。また感染症対策でも,位置情報は多面的に利活用されている。このように多様な用途での利用が期待できる位置情報であるが、利用において社会全体で留意すべき課題も多く残されている。本稿では、災害対策,感染症対策における位置情報を対象とし、利活用について整理したうえで、課題について述べることを目的とする。
本稿では、災害対策,感染症対策における位置情報を対象とし、利活用について整理したうえで、課題について述べた。まず災害対策における位置情報の利活用について、災害ビッグデータとしての位置情報の利活用、位置情報を用いた救護・救援活動、行政によるソーシャルメディアの投稿情報の利活用について紹介した。次に災害対策におけるソーシャルメディアの位置情報の利活用について、著者らの研究室が開発したソーシャルメディアマッピングによる情報の集約化、位置情報付きのTwitterの投稿情報を紹介した。さらに感染症対策における位置情報の利活用について、国レベルと企業等での位置情報の利活用について紹介した。最後に災害対策と感染症対策における位置情報の利活用と課題について、災害対策と感染症対策を比較したうえで、個人の位置情報のマネジメント、情報環境の変化の2点から課題について述べた。
災害対策において位置情報は東日本大震災を契機として積極的に利活用されるようになり、こうした点ではデジタル地図上に様々な情報を集約化可能なWeb-GISが大きな役割を果たしていた。さらにクラウド・コンピューティング社会の進化とともに、世界の多くの国・地域でソーシャルメディアが普及したことにより、位置情報付きのソーシャルメディア上の投稿情報がWeb-GISのデジタル地図上に集約化されるなど、位置情報の効率的な利活用が進みつつあることが明らかになった。
近年世界規模でCOVID-19の感染が拡大すると、位置情報が感染症対策としても利活用されるようになり、デジタル感染追跡が急速に拡大した。ただし、各国で位置情報の利活用には差異が見られ、固有の歴史的背景を基盤とし、社会的、経済的な状況が反映されている。この点については、各国においてデジタル監視とならないように、将来的な規制の議論が始まることが望まれる。
本稿の冒頭部分でも述べたように、位置情報は利活用の範囲が拡大しており、今後さらに多様な用途で利活用されることが期待されている。このように多様な用途での利用が期待できる位置情報であるが、この利用において課題が多く残されているため、こうした点に配慮して利活用することが必要である。