15:00 〜 15:15
[HDS11-06] 地下水中の溶存気体が斜面安定性に与える影響について ー水文観測に基づく考察ー
キーワード:溶存酸素、過剰間隙水圧、無降雨時崩壊
湿潤な気候帯に位置する日本列島では、降雨を起因とする斜面災害(地すべり・落石・土石流)が多く発生しており、雨の多い梅雨~夏期にかけた斜面災害が増加する傾向がある。雨を起因とする斜面災害の一般的な理解としては、降雨の地盤浸透により斜面の飽和度が上昇し、せん断強度の低下や岩盤組織の破壊により崩壊が発生すると考えられている。一方、前兆現象として降雨を伴わない斜面崩壊も低頻度ながら発生しており、その突発性については地震に伴う災害と同様、予知や対策の困難さから甚大な被害につながりやすい。
突発的な崩壊についてはこれまでにも調査報告事例があり、たとえば地頭薗ほか(2006)や久保田ほか(2018)では、岩盤中に滞留する地下水が崩壊に寄与した可能性が示唆されている。また、矢板根入れ部の浸透破壊現象に着目した都市部での既往研究では、水頭差と粒度組成により地下水中の溶存気体が析出し、地盤のせん断強度を低下させることが原因の一つであると報告している。( 小高・浅岡,1994)。
そこで、本研究では火砕流台地の急傾斜地端部付近に流れる地下水に着目し、地下水中の溶存気体変動のモニタリングを試みた。モニタリングする溶存気体は比較的機材が入手しやすく、精度や機種も多い溶存酸素計を用いて溶存酸素濃度を計測した。一般的な地下水中の溶存酸素濃度は、生物による消費や酸化などの化学的作用により消費され低くくなるとされており、山地斜面における観測報告例などは非常に少ない。本研究では、溶存酸素濃度に加えてその他の水質も計測し、降雨や地下水流量(地下水排除工の排水流量)などと比較し、溶存酸素濃度の季節や降雨に対する変動特性について検討を行い、観測項目としての可能性について議論を行った。
突発的な崩壊についてはこれまでにも調査報告事例があり、たとえば地頭薗ほか(2006)や久保田ほか(2018)では、岩盤中に滞留する地下水が崩壊に寄与した可能性が示唆されている。また、矢板根入れ部の浸透破壊現象に着目した都市部での既往研究では、水頭差と粒度組成により地下水中の溶存気体が析出し、地盤のせん断強度を低下させることが原因の一つであると報告している。( 小高・浅岡,1994)。
そこで、本研究では火砕流台地の急傾斜地端部付近に流れる地下水に着目し、地下水中の溶存気体変動のモニタリングを試みた。モニタリングする溶存気体は比較的機材が入手しやすく、精度や機種も多い溶存酸素計を用いて溶存酸素濃度を計測した。一般的な地下水中の溶存酸素濃度は、生物による消費や酸化などの化学的作用により消費され低くくなるとされており、山地斜面における観測報告例などは非常に少ない。本研究では、溶存酸素濃度に加えてその他の水質も計測し、降雨や地下水流量(地下水排除工の排水流量)などと比較し、溶存酸素濃度の季節や降雨に対する変動特性について検討を行い、観測項目としての可能性について議論を行った。